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コラム 学識者・企業人はこう考える!

小型バイオマスプラントの事業化・普及【モデルケース@】

静岡市清水区の山梨罐詰鰍ヘ、缶詰、カップ、レトルトパウチ入りの食料品を製造しています。主要な製造品目はツナ、フルーツゼリーで、その他、クリームシチュー、カレー、煮込みウドン等のレトルトパウチ食品です。
今回の実証化試験では、製造不良等によるレトルト食品の廃棄品、製造工程で発生する廃食用油、汚泥等、あわせて日量1トン程度の食品廃棄物が発生する想定でモデルケースとして事例検討を行いました。





検討は、ガスエンジン、蒸気ボイラー、温水ボイラーの3パターンで事業性を評価しました。メタン発酵プラントを導入してレトルト残渣を1トン処理することにより、325kWh/日の熱エネルギーが回収可能で、プラント維持管理で熱エネルギーを利用した場合でも、181kWh/日の熱エネルギーが有効活用できます。
また、プラントの設備投資として約4,200万円が必要となりますが、減価償却期間を15年と設定した場合、廃棄物処理費用の削減により年間1,150万円以上の利益が生まれます。国や県の補助制度をうまく活用することにより2〜3年で初期投資を回収できることがわかりました。


次に、ガスエンジン及び温水ボイラー利用の事例のエネルギー側面とコスト面での評価結果です。ガスエンジンを導入した場合、日量59kWh/日の余剰熱エネルギーに加えて、31kWh/日の余剰電力が得られることがわかりました。メタン発酵プラント導入により、どの事例でも年間1千万円以上の利益があり、国や県の補助制度をうまく活用することにより3〜4年で初期投資を回収できることがわかりました。





事業性評価がもっとも有利であった蒸気ボイラーを採用した場合のプラント構成のイメージ図を紹介します。日量1トンのレトルト残渣をメタン発酵処理する場合、9トンの前処理槽で3日間、30トンのメタン発酵槽で10日間、合計で13日間処理することにより、バイオガスが53m3回収できます。このバイオガスは蒸気ボイラの燃料として利用することで181kWh/日の熱エネルギーを有効利用することが可能となります。


今回のモデルケースでは、メタン発酵処理を行うと「消化液」と呼ばれる発酵残渣液が日量3トン発生します。消化液はそのまま河川や海などの環境へ排出すると富栄養化の原因となりますので、下水処理や排水処理により環境負荷を低減するか、残留する栄養を肥料として有効活用する必要があります。
実証化試験では、レトルト食品由来の消化液を液肥として利用可能か、肥料登録用の試験に準拠して検証しました。消化液中にはヒ素、水銀等の6項目の有害重金属は検出されず、発ガン物質等の25項目の有害成分も溶出されないことから安全性が確認できました。 また、小松菜による植害試験では、発芽、生育状況ともに市販品と比較して良好な成績を得ることができました。
散布や運搬方法を工夫すれば、消化液は液肥として有効活用できることがわかりました。


最後に、実証化試験の研究成果をまとめました。
レトルト食品残渣は、従来のメタン発酵処理では、バイオガス化(エネルギー利用)は難しいものでしたが、新規開発した前処理方法を適用することにより、安定的にバイオガス化(エネルギー利用)できることがわかりました。
実証化試験で得られた結果を日量1トン規模の工場に適用した場合、バイオガスエンジンによる発電・熱回収より、バイオガスボイラーによる熱回収のほうがエネルギー収支的に有利で、エネルギーの自産自消が実現できることがわかりました。
また、資金面の評価では、年間1,000万円以上の収益となり、国や県の補助制度をうまく活用することにより2〜3年で投資回収可能であることがわかりました。
さらに、消化液は安全性・品質に問題なく液肥として利用可能であることが判明したことから、資金面のメリットに加え、農産物・水産物生産による資源の地産地消も期待できることがわかりました。


平成30年9月

静岡県小型メタン発酵プラント事業化推進協議会

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