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コラム 学識者・企業人はこう考える!

静岡県環境ビジネス協議会視察会報告

訪問先

・ 川根温泉ホテル(島田市川根町笹間渡195-1)

・ 藤枝市浄化センター(藤枝市城南3-2-1)

静岡県内の環境ビジネス育成支援等を行う静岡県環境ビジネス協議会(事務局:静岡県環境資源協会、静岡県環境政策課)の視察会が、平成30年1月19日に開催されました。

今回はエネルギー分野をテーマとして、メタンガス発電事業を実施している川根温泉ホテルと消化ガス発電事業を実施している藤枝市浄化センターの視察が行われました。

 


川根温泉ホテル(島田市川根町笹間渡195-1)

背景

川根温泉は平成6年に旧川根町が採掘した温泉で、地下1,148mから湯温48.7度、湯量730リットル/分が自噴している。同時にメタンガスも湧出しており、ガスの湧出量は30m3/時間、メタンガス濃度は85%。

温泉に含まれているメタンガスは温泉法により、取り除くことが義務付けられており、これまではガスセパレーターによりガスを分離し、大気放散していた。 そこで島田市では、メタンガスの有効利用を目指して本事業に取り組むに至った。

 

システム

自噴した温泉水は既存のガスセパレーターにより温泉水とメタンガスに分離され、ガスコンプレッサーで圧送後、ガスホルダーに貯留し、メタンガスマイクロコージェネレーション(25kW×4台)にて発電するシステム。川根温泉のメタンガスは都市ガスと同程度の成分であり、通常必要な脱硫等の行程が不要である。

温泉は24時間自噴しており、24時間の発電が可能であるが、FITでの売電は対象外のため、発電した電気は施設内利用していて、夜間はガスを貯留し、朝夕のピーク時間に使用している。温水は道の駅に併設の川根温泉ふれあいの泉にて利用している。

これらの制御は全て自動化されており、本システム構築時に専用の制御回路を同時に開発した

これまでの稼働実績では、施設の約60%の電気を賄っている。購入電力量が減ったため、契約電力量を引き下げることができ、電気の基本料金の引き下げに繋がった、また灯油代の大幅な削減となった。

事業費は全体で約1.3億円、そのうち国や県の補助金を約77%利用することで、市の負担を減らした。減価償却は数年だが、それ以降の削減額については貯蓄して、20年サイクルの将来的なシステムの入れ替え費用にする。

 

改正鉱業法

地下から引き上げたメタンガスの利用には鉱業法に基づく鉱山としての許可取得が必要だ。平成24年に鉱業法の改正があり、それまでの先願制から国が特定区域を指定して事業者を公募する方式に変更となった。

島田市は平成24〜25年度に可能性調査を実施、翌平成26年より管轄である経済産業省と協議を開始、平成27年に特定区域の提案を実施した。平成28年に市が特定開発者として応募、28年末に島田市が特定開発者として選定され、同年中に鉱業権の許可を取得、平成29年4月に正式稼働開始となった。

鉱業法が改正されてから初めての鉱業権取得だったため、経済産業省と協議を始めてから正式稼働まで丸3年かかった。本事業において最も苦労した点だ。

ただし、既に温泉井戸があり、これまでの実績をもとに資料を作成したため、鉱業権許可取得に対しての調査費用はなかった。

 

まとめ

1.これまで大気放散させていたメタンガスを活用しコージェネレーションシステムで電気と熱を作り、施設のランニングコスト軽減のため有効活用した。

2.メタンガスは二酸化炭素と比較して約25倍の温室効果があるガスであり、これらを有効活用することで地球温暖化の防止に貢献した。

3.施設は市街地から離れており、万が一の災害時に電力会社からの電力供給が止まった場合でも、自立での発電が可能で、地域の電源として活用が期待できる。

 

 

 

 

藤枝市浄化センター(藤枝市城南3-2-1)

事業概要

平成6年(1985年)に供用を開始した下水処理場で、処理人口62,583人(市全体の約43%)、処理能力32,325m3/日、放流水量は1日平均20,988m3。

メタンを主成分とする消化ガスを売却し、事業者が発電を行う(固定価格買取制度(FIT)を利用して売電)ことで、再生可能エネルギーを有効活用すると同時に、市はガスの売却及び土地貸し収益を得ることができる。

設備投資と維持管理は発電事業者が行う民設民営方式(発電事業者:月島機械株式会社)、20年間の長期事業である。

 

背景

浄化センター供用開始時は嫌気性無加温重力濃縮のみでスタートしたが、消化効率が悪く、平成4年度の分離濃縮への許可変更を皮切りに幾多の増設・改造を重ね、平成9年度より高濃度嫌気性直接加温式2段消化に移行した。

また平成19年度より重力と常圧浮上濃縮汚泥の各消化タンク投入汚泥濃度の努力目標値を要求水準で定め、高濃度負荷を与え安定稼働に努めている。日量2,000Nm3の消化ガスが発生し、500Nm3を蒸気ボイラーで燃焼させ発酵促進のため加温用として利用、残り1,500Nm3は、余剰ガス燃焼装置で強制燃焼させていた。

 

システム

水処理系統より濃縮タンクを経由した汚泥を消化タンクに20〜30日貯留・加温、汚泥は発酵しメタンを主成分とするガスを発生させる。発生したガスを脱硫し、ガスタンクへ一次貯留(これ以降は民間による事業)、シロキサン(シリコーン系オイル成分)を除去後、消化ガスを燃料として供給しガスエンジンで発電、排熱は温水として回収し消化ガスの加温に利用。

発電容量は253kw、年間発電量149万kWh/年(一般家庭390世帯/年)程度を発電する。市は消化ガスの売却と土地貸しで年間18,764千円の収入を見込んでいる。

最終的な汚泥発生量は10t/日(3,800〜4,000t/年)で、平成13年からは全量リサイクル(70%はたい肥化、残りはセメント化)している。

 

まとめ

藤枝市は環境日本一を目指しており、水処理施設屋根貸し太陽光発電施設設置に続き、本事業を実施した。消化タンクを備えた下水処理場であれば、同様の事業の実施が可能と考えられるが、各施設における処理状況(汚泥を一定レベルまで濃縮できるか)によりガス発生量が異なるため、注意が必要である。

 

 

 

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