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コラム 学識者・企業人はこう考える!

「溶融スラグのJIS認証取得を振り返って」(三井造船株式会社浜松センター品質管理責任者 高柳知志 氏)

 

 

私どもは平成21年2月より、浜松市のPFI事業として浜松市西部清掃工場の運営・維持管理業務を受託しています。本事業では、ごみ処理の過程で生成される溶融スラグは、事業者の責任で全量有効利用することとされています。


さて、本工場では平成28年3月に、広域、多用途での溶融スラグの利用を推進することを目的としてJIS A5031 MS5 A、及びJIS A5032 FM-2.5についてJISマーク表示制度の認証を取得したのですが、最初は、私が品質管理責任者の資格を取得することからスタートしました。

 

運営開始当初、浜松市より環境省の通達にある「工業標準化法に基づく認証を受けることが望ましいこと」についての検討を申し受けましたが、この時点では、溶融スラグの有効利用促進には直接寄与しないと判断したこと、また、費用対効果の面からも認証取得はしないことを回答しました。

 

その後、浜松市において公共工事で溶融スラグ入りのアスファルトやコンクリート二次製品に利用していただけるようになり、認証を取得することの検討を申し受けました。従前は、浜松市職員の方も溶融スラグの運用に関与していて、市長名の「溶融スラグ品質証明書」発行のため、サンプリングの立ち会い、発行までの事務処理などもお願いしていました。また、分析頻度など実務面でのことも勘案すると、標準化された手法で第三者機関の審査による方が合理的との判断に至り、認証取得に向けて取り組むこととしました。

 

本工場は破砕処理センターからの破砕可燃ごみも受入れていますが、その中に電化製品の基板などが含まれており、その受入れ量に応じて溶融スラグの鉛含有量が変動します。そのため、鉛含有量の標準偏差の担保が不十分との理由で承認保留となり、一度は審査申請を取り下げました。しかしその後、調査検討を重ね、鉛含有量の平準化方法を確立することができ、再度、認証審査を申請し、認証取得に至りました。

 

認証取得から半年が経ちましたが、取得してから大きく変わったことは、溶融スラグは「廃棄物処理の副産物」ではなく工業製品となったことです。これにより浜松市以外への販売にも販路が広まったと思っています。また、毎月、品質管理委員会を開催するようになり、運転責任者、整備責任者の品質管理への意識がより高まりました。ごみ処理で派生した副産物ではなく、溶融スラグという工業製品を製造するという視点は、リサイクル製品を広めていく上で、社会からの信頼を得るために必要なことだと思っています。

 

平成29年1月(執筆はH28年12月)

 

三井造船株式会社 浜松センター
品質管理責任者 高柳知志

 

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