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コラム 学識者・企業人はこう考える!

- リサイクルビジネスとアグリビジネスを垂直統合する - (株式会社ヤードウエスト浜松 企画営業本部長 山田 将行 氏 )

 

「From Farm & Soil , to Wellness 健康と豊かさを畑の土作りから」

 これは、私どもヤードウエストグループのコンセプトとなっているコピーです。

 

株式会社ヤードウエスト浜松は、静岡県西部から発生する剪定枝葉、樹皮、刈草などの草木類、植物資源を原材料として受入れ、植物性堆肥及び培養土を製造するグリーンリサイクル事業を主としております。堆肥は農場の土作りのための資材であり、培養土も多くはプロの生産者様にお使い頂いていることから我々の立ち位置はアグリビジネス(農業)と密接な関りを持っています。数年前より、納品先の生産者様から「農産物の新たな販売先を開拓したい」とのお声を頂くことが増え、そのお手伝いをさせていただく形で青果の流通事業を始めました。ここで大事にしたことは、可能な限り我々の堆肥・培養土をお使い頂いている生産者様と連携をする、ということです。

 

 ところで、このような取り組みは食品リサイクルループを構築する上でよくあるケースです。例えば流通事業者が、店舗から排出された食品残渣を堆肥化し、それを生産者様へ供給して野菜を生産してもらい、それを流通事業が買い上げる。リサイクルループが構築されているように見えますが、このような取り組みに私は懐疑的です。まず、本取り組みが排出事業者の理屈で動いてしまっていること。敢えて乱暴な表現をすると「堆肥化さえすれば農家は使ってくれるだろう」という生産者軽視の考えが透けて見えます。また肉、魚、卵など日々中身が変化する食品廃棄物では、生産される堆肥の品質が担保しにくいという課題もあります。実際に堆肥や培養土の営業を行うと分かるのですが、篤農家は自分の農場に入れる資材にとても気を使います。そこに「堆肥のような良く分からないもの」は絶対に入れません。養分過多になったり微生物バランスが崩れたりして逆に農場の土をダメにするからです。従って堆肥化してもそれが出荷できず、また野菜の収量・品質も安定しないことからリサイクルループが立ち行かなくなるのです。

 

 我々は原材料を植物由来に限定し約1年という月日をかけて質の良い堆肥を製造すること、つまりメーカーマインドに立って堆肥化(リサイクル)しており、畑の土作りに真に貢献すること、そして生産される野菜の収量・品質を高め、いかに付加価値を付けて流通させるかを考えています。つまり生産者様を向いて、取り組みを進めるのです。

 

 青果物の流通事業はアグリサービスジャパン株式会社として分社・独立し、マーケットニーズを把握し、協力生産者に生産をお願いする形で事業を広げています。しかし我々は小資本であり青果の流通業界では後発企業であることから、勝つためにはポジショニングが重要になります。そこでハーブ類、健康野菜といったニッチな領域を主戦場としました。超高齢化社会を迎える日本では「健康」はキーワードとなりますし、ハーブやパクチーブームも追い風になっています。種苗会社とも連携し、品種情報も生産者へ提供します。企業のブランディングという観点では、何よりもヤードウエスト浜松とのシナジーを発揮することを考えています。質が高く、静岡県リサイクル認定制度やエコマーク認定制度など外部的にも認可された堆肥を農場に施肥して土作りをしっかりと行う、あるいはそれを配合した培養土で育苗を行う、アグリサービスジャパンによるマーケティングにより差別化できる品目を選定し、生産していく。農場の土作りという「上流」から消費される「下流」までのバリューチェーンをグループで繋いでいくのです。この時に、我々はキャベツやレタスといった重量野菜を選びませんでした。面積を必要とする重量野菜の生産は、ヤードウエスト浜松の製造する堆肥とのシナジー、及びグループのコンセプトとの合致が弱かったためです。

 

 

 現在、協力生産者様に植物性堆肥やハーブ育苗用の土、種まきの土などヤードウエスト浜松が製造する資材をお使い頂いておりますが、そこには形だけのループではなく「使ってみて確かに野菜の品質が上がる」「苗質が良くなる」「歩留まりが良くなる」という品質ありきの考えがなければ絶対にうまくいきません。たとえばアグリサービスジャパンの取扱い品目であるセルバチコは、ルッコラの原種でゴマ風味のピリ辛が特徴的ですが、育苗が非常に難しかった。そこでセルバチコ用の種まき培土をヤードウエスト浜松が開発して提供したところ歩留まりが格段に向上しました。

 

 以上、述べてきたようにリサイクルのための堆肥製造ではなく、堆肥を製造するためのリサイクルであること、流通事業ではポジショニングとマーケティングを行い勝てる領域で勝負すること、それぞれの事業が1つのコンセプトのもと有機的につながっていくこと、これによりリサイクルビジネスとアグリビジネスを垂直統合し、バリューチェーンを構築していけるのです。

 

 

 

平成28年8月(執筆はH28年7月)

 

株式会社ヤードウエスト浜松

企画営業本部長 山田将行

 

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