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コラム 学識者・企業人はこう考える!

- 500W風力発電機 - MNJ株式会社 代表取締役社長 千葉 恭史氏

背景
 昨今の状況で再生エネルギーの有効活用が社会全体のテーマとなっている。風力発電は最も古典的な再生エネルギーでありながら、小型風力発電機の活用は進んでいない。だが自然エネルギーのなかで最も潜在能力が高いのが風力である。  太陽光パネルが設置できない環境において安価でかつ、設置が容易な小型風力発電機は今後の再生エネルギーの一翼を担い、電気の地産地消費に適したシステムである。

 

 弊社は特定ユーザー向けに高効率小型BLDCモーターの開発と供給を行ってきた経緯が有り、ACサーボモーターやBLDCモーターをベースに小型で高効率、かつ、安価で量産可能な発電用モーターの開発を手がけてきた。今般、開発済みの30w、50w、100w、300w、500wの内、500wの発電モーターを搭載した500w風力発電機の製品を製作した。500Wを選定した理由はいくつかあるが、羽根と発電モーターとの相関性と、それによって生じる実効発電量を考慮した結果である。つまり、風力と取り出せるエネルギーとの相関性を考慮し、適正な融合を図った結果である。

 

 風力発電にはベルツの法則と云うものが有り、風力発電量はローターの直径の2乗、風速の3乗に比例して増加する。というものである。そして風力のエネルギー(入力)に対して取り出せる電力(出力)の最大効率は59%と云うのがベルツの示した法則である。単純な話、風速9は風速3の27倍のエネルギーを有している、ということである。一例であるが、直径60cmの円盤が受ける風力3のときの風のエネルギーは4,8wしかない。取り出せる電力は以下のようになる。

 

4.8w×0,45(羽根のCP係数)×0.85(発電モーターの効率)×0.93
(平滑コントローラー効率)=1.7w

 

 これはかなりの好条件をそろえた場合の電力値であり、実際には、0.5w〜1w程度がせいぜいであろう。この風速領域で発電量を増やすには羽根の大型化が必要である。効率よいマイクロ風力発電ユニットが実現しないのはこのような事実があるからである。前述の数値で、他の係数(効率)に比べて羽根の係数が低いのがわかる。この羽根のCP係数が改善されれば風力発電機の効率は一気に上がるのであるが、残念ながらこの数値を大きく超える変換効率の高い羽根は存在しない。実際、風力発電の効率は風と云う入力エネルギーの40%程度しか出力として取り出せていないのが現状である。これは、羽根のCP係数が大きく影響しているからである。

 

風力発電機の概要
高効率な風力発電ユニットを組むには下記の要素が必要である。
A:羽根に求められる要素
1. Cp係数が高くエネルギー変換効率が高い
2. 軽量で回転上昇が早く、かつトルク(揚力)のある羽根。
3. 適度なしなりが有り、対候性があり、劣化が少ない
4. 回転ノイズが少ない

 

B:発電モーターに求められる要素
1:低回転でも発電効率がよい
2:負荷が少なくても発電量が多い
3:小型で軽量

 

 A項、羽根の2を見ても判るとおり、相反する事柄が求められる。同じようにB項発電モーター1,2のように相反する事柄が求められる。 これらの要素の融合最適化を計ることが製品設計の最も大切な事柄である。弊社はモーターの設計技術を活かし、発電モーターの開発を行いその特性に合わせた羽根を組むというやり方で製品開発を行った。発電モーターは三相交流を発生するBLDCモーターをベースに開発を行った。モーターとジェネレーター(発電モーター)は双子の兄弟のようなもので電力から駆動力を取り出すのがモーター、駆動力から電力を取り出すのがジェネレーター(発電モーター)である。 つまり、高効率のモーターは高効率のジェネレーター(発電モーター)として利用できるのである。本章では判り易くするために呼称を発電モーターとして記述している。製品の仕様は下記の通りである。

 

定格出力:500w 風速9
最大出力:650w 風速10(電気ブレーキ作動時)
ローター回転直径:1500mm
羽根の材質:カーボンファイバー
本体筐体材質:アルミ

 

 羽根の材質に炭素繊維を選んだのは前述の羽根に求められる要素に適切であったからである。本体の材質にアルミを採用したのは、軽量化、風雨による劣化や防錆だけでなく、風力発電機が長時間、高速回転で回った場合の発電モーターの放熱効果を考慮した結果である。

 

特長
 本来モーターの実用回転領域は1200rpm〜5000rpm程度である。しかしながら、風力発電に求められる発電モーターの実用回転領域は1000rpm以下であり、その領域で効率よく電気を生み出すことが求められる。発電モーターの特性は磁石式の場合、コアの着磁とステーターの厚さ、極数、捲き線の径と捲き数によって決まると言ってよい。 一般的な見識で考えると低回転重視の風力発電用には極数が多く取れるアウターローター形式の発電モーターが適性であるが、表面積の大きい円盤状の形となり、1kwクラスでは小型化は難しい。また風力発電機ユニットとして組んだ場合、全面投影面積が大きくなり風に対しての追従性がよくない。


 弊社の選択はインナーローター12極、とした。重視したのは最大出力ではなく、500rpm〜900rpmの過渡領域での特性を重視した、この回転領域は風速5~8を想定したもので、この領域での発電量を通常の1kwクラスの製品に比べ、1,5倍の電力量を取り出せるようにした。 この風速領域で最も効率の良い羽根を組み合わせたのが、この500w風力発電機である。 風速6における羽根のCP係数は0,472である。 実用領域での発電量を重視した発電モーターと羽根の組み合わせである。 風力発電機においての重要性は最高出力ではなく、広い風速領域で発電することにある。
1年間を通じてのどれだけの電気を作れるのかと言うことが肝要である。

 

平成26年12月

 

MNJ株式会社

代表取締役社長 千葉 恭史

 

 

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