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コラム 学識者・企業人はこう考える!

- コーヒーかすを利用したバイオ固形燃料化について - 静岡県工業技術研究所 松本 豊 氏

 

食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)が施行され、早10年が過ぎようとしている。バイオマスタウン構想(2010年7月までに283地区が認定、静岡県では4市)にも後押しされて、徐々に食品廃棄物の利用率は高まってきている。

 

バイオマスタウン構想では、利用率の低い間伐材を木質ペレットとして利用する計画が多い。ここでは、廃棄物系バイオマスのコーヒーカスに焦点を当てた固形燃料化に関する研究を進めており、概要を紹介する。

 

県内では飲料メーカーが多く、コーヒーカスの一部は土壌改良剤に利用されているが、一方で産廃に回る分も多い。そこで、これをペレット燃料に加工することを考えた。現在市販されている木質ペレットは、原料に間伐材を用いるためコスト的に厳しく、自治体の支援も必要である。また、比較的身近にある廃木材は需給が逼迫しており、通常では手に入らない状況が続いている。

 

県内飲料メーカーから排出される大量のコーヒーカスは、合計で150t/日(4万数千t/年)ほどに達している。これは全国の30〜40%に相当する。コーヒーの抽出工程から生じるカスは水分を約60%含んでいる。ペレットの製造フローは、水分を除く乾燥工程と、ペレタイザーによるペレット化工程が必要になる。

 

ペレタイザーはフラットダイ方式を採用した。コーヒーカスは熱と摩擦により、ペレット(6mmφ×40mm)に成型されて連続的に生産される。市販の木質ペレットに較べると粉化度が高く、もう少し強度が欲しいところではある。しかしながら、発熱量は23.4MJ/kgと、市販の木質ペレットよりも1.2倍ほど高いものができた。

 

これは、成分中に脂肪分が残っており、発熱量を上げたものと思われる。さらにはリンやカリウム成分も豊富にあり、燃えて灰となっても濃縮されて残るから、肥料として使うときにもよい方向に働く。5t/日のコーヒーカスからペレットを作る場合の経済収支を試算したところ、設備導入に1/3の助成を期待したとして、ペレット燃料を20円/kgで提供でき、約3年で回収可能となる見込みを立てた。これは決して無理な試算ではない。

 

また、メロン農家(温室10棟)に導入した場合に、ペレットボイラーを仮に500万円で設備したとしても、約3年で回収できる試算を得た。現在、木質ペレット燃料が40〜50円/kgで市販されていることを考えると、半額で提供でき、しかも発熱量は高いという利点もあり、実用化は十分に期待できる。

 

物流や経済性のことを考慮して、皆が得するプランを提案していくことが大事である。県内に多い施設園芸や温泉施設、介護施設等などへの展開が可能となれば、食品廃棄物を利用して地産地消型のエネルギーシステムが誕生する。

 

ここで、コーヒーカスのバイオ固形燃料化の優位性をまとめてみると、

1)産業廃棄物の収集運搬・中間処理のできる業者が参画すること

2)食糧との競合がないこと

3)年間を通じてロットが安定していること

4)回収・販売システムの構築が容易

5)保存性がよい

6)無害である

7)熱エネルギーの利用形態ができている

8)副産物(灰)の農業利用が可能

9)利用先が十分にあること

 

であり、何と言っても近場で無理なく、年中ロットも安定した原料が安く手に入ることが重要である。将来的には、CO2排出量取引きの例として、またカーボンオフセット商品にまで展開して行く予定である。ちなみに、国内で排出されるコーヒーカスを全て利用できれば、4万t/年のペレット燃料ができ、それは原油換算で2万kL分に相当することになる。

 

このように、今後のバイオマス利用の方向性としては、地域ごとに特徴的なバイオマスを、新しい資源として開発・利用していく計画が大切になってくる。それには一つだけの考え方でなく、カスケード利用や製品への中間利用など、より付加価値の高い利活用の仕方に転換していくことが大事である。皆が幸せを共有できるシステムを作ることができるか否か、それが成功の秘訣と思われる。

 

平成23年3月

静岡県工業技術研究所

松本 豊

 

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