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コラム 学識者・企業人はこう考える!

- バイオマス特集 メタン発酵 - 静岡県工業技術研究所 上席研究員 酒井 奨 氏

 弊所は県内企業の技術支援を本分に、共同研究や受託研究、依頼試験(分析)や技術相談などを実施しております。今回は、私ども環境科でも取り扱っている「メタン発酵」というお題を頂きましたので、簡単にご紹介させて頂きます。

 

酸素のない環境(嫌気条件)で有機物が微生物によって分解され、最終的にメタンと二酸化炭素に変換されるプロセスを一般に「メタン発酵」と呼んでいます。ごみの埋め立て地や湖沼からガスが発生すると言った事例もございますが、これもメタン発酵です。一般的には有機物を多く含む下水汚泥、家畜の排泄物、生ごみ、食品工場排水などがメタン発酵の対象になります。

 

メタン発酵は、原料中の水分や発酵温度、原料の投入方法などによって幾つかの種類があります。例えば水分が90%以上の原料を扱う場合は湿式、70〜80%なら乾式と呼んでいます。一般的に湿式が多く採用されていますが、これはアンモニア阻害を回避できるからです。アンモニア濃度が2,000〜3,000ppmを超えますとガスが発生しなくなりますので、注意が必要なのです。

 

しかし湿式は発酵槽が大きくなってしまいますので、最近では乾式の研究も盛んに行なわれています。発酵温度は35℃付近の中温型と55℃付近の高温型があります。高温型は、ガス化速度が速くて消化(有機物の分解)に要する時間(日数)が短くなるほか、雑菌や雑草種子の死滅効果があるため、発酵後の消化液を農地還元する場合に有利とされています。ただし高温ゆえに熱源が多く必要になるため、管理上は中温型が有利です。

 

メタン発酵による有機物の分解プロセスは、多くの微生物による複雑な生物反応で支えられています。大別すると加水分解、酸生成、水素・酢酸生成、メタン生成の4プロセスに分けられます。メタンガスを作るメタン菌はpH6.5〜7.5が最適条件とされ、増殖速度はとても遅いのが特徴です。

 

バイオガスは、原料にもよりますが、生ごみですと100〜150Nm3/tくらい発生します。約60%がメタンガスです。時には硫化水素やアンモニアなども微量に混入します。ですので、ボイラーやガスエンジン、燃料電池などでバイオガスを利用するときには、脱硫などのガス精製が必要となります。

 

最近では、バイオガスの用途開発も盛んです。バイオガス中の二酸化炭素を除去した後、都市ガスの中に混ぜて一般家庭で利用したり、CNG車(天然ガス自動車)を走らせたりすることもできます。地球温暖化や化石資源の枯渇など暗いニュースが多いですが、メタン発酵がもっと身近なものになれば、環境問題も解決できると期待されているのです。

                           

 

平成22年5月

 

静岡県工業技術研究所

上席研究員 酒井 奨

http://www.iri.pref.shizuoka.jp/

 

 

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