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コラム 学識者・企業人はこう考える!

- 静岡県木質バイオマス協議会 福岡県八女市・大分県日出市の視察 - 静岡県森林組合連合会 原川愛香 氏

 

「1本の木の価値をいかに上げてゆくか」に向けて木質バイオマス利活用を考える「静岡県木質バイオマス協議会」(団体概要は末文)の活動の一環として、去る平成22年2月23日〜24日に福岡県八女市と大分県日田市を視察しました。

 

 

 

 

1.福岡県八女市健康増進施設「べんがら村」

 八女市は福岡空港から高速道路で南へ1時間、米、麦、お茶、タケノコ、山菜そして林業を主な産業としています。

 

 視察した八女市健康増進施設“べんがら村”は、地元の農産物・加工品の販売所、地ビール製造所、レストランやプール・温泉施設、そして農業体験もできることから県内外からたくさんの人が訪れます。平成21年3月に温泉施設に木質バイオマスボイラーが導入されましたが、チップ原料は主にこの地域から生産された木材で、近くにある八女林産協同組合と提携することにより調達しています。

 

 チップサイロとボイラー施設を見学し、担当者にお話を聞くと、「もともとは重油ボイラーであったが重油の高騰と林業の振興から導入に踏み切った。ボイラーは性能を重視して選んだのでイニシャルコストはかかったが、その甲斐はあり、トラブルも少なく1年が経過。以前の重油使用と比べても運転経費は削減した。また、化石燃料からの切り替えにより削減された二酸化炭素の排出分は国内クレジット制度で販売する予定」とのこと。

 

 また、福岡県全体では、公共施設など他3箇所でも木質バイオマスボイラーの導入が進められ、需要と供給を結びつけ安定供給体制を整備するために地区協議会が設置されています。

 


(原木由来のチップなので灰の量は1週間で一袋程度)

 

2.大分県日田市 日田林業

 「天領日田」として有名な大分県日田地域は歴史ある林業の町でもあります。ここでは、木材関連企業を集めることにより運送効率の向上などを目的に造成された「ウッドコンビナート」内を3箇所視察しました。当地域内だけで原木市場が7社あり、取扱量は静岡県内とほぼ同じ規模です。また、各社2−3回/月に市をやるので、ほぼ毎日市が開かれているとのこと。市街地を巡る中でも丸太が広く高く積まれた木材市場や製材所、木材運搬のトラックを多く目にしました。最近は、木材を原料とした高機能材料の開発に協力し、木材の付加価値を高める取組みも始まっています。

 

 続いて、日田木材協同組合が建設した「日田杉資料館」を見学、ここでは樹齢約500年の大きな杉が何本も展示され、また日田林業の歴史を紹介した書き物、道具、昔の搬出風景や女性が市場で原木を運ぶ写真も残されており、大変見ごたえのある資料館でした。

 

(資料館 スギの巨木が何本も展示)


3.おまけ 日田市「小鹿田焼の里」

 日田市街地から北へ30分、重要無形文化財である小鹿田焼(おんたやき)の里に行きました。ここには300年以上の歴史があり、一子相伝、10軒の窯元で守っています。ちょうど明日から窯に火を入れるとのことで忙しそうでした。

 

 あちこちに大きな“ししおどし”のような、水流を利用して土を挽く装置があり、水受けがいっぱいになりこぼれるとき、水受けが上がるときにぎぎーっと独特な音が静かな空間に響きます。この地に住む方はこの音を聞きながら育つのでしょうか、なんともいえない心穏やかな気分になりました。 

 

(土を挽く装置)

 

4.終わりに

 静岡空港発着でフライト一時間半弱、福岡・大分ともにお茶やひな人形の生産、と産業や気候が本県と似ており、はるばる九州へ来たと言う印象は受けませんでしたが、林業については木が違い、歴史が違い、規模が違い、様々な取組みをみることができました。特に公共施設にチップサイロを導入した成果についてのお話は大変印象的で、今後の動向も非常に気になるところです。あっという間の2日間でした。


「静岡県木質バイオマス協議会」について

 新エネルギーとして注目されてきました「木質バイオマス」は、製材残材や建設廃材などの廃棄物系資源だけではなく、林地残材や間伐材などの森林資源が注目されています。静岡県は民有人工林のみでも毎年100万?余りの生産量を持つ森林資源を有しており、これらを活用することで資源循環型社会や低炭素社会を構築する可能性が高いと考えております。

 

 これにより、平成16年より大井川流域においてこれらの課題に対処すべく静岡県森連や森林組合と地域の関連企業である東海パルプグループにて設立され、新たな資源循環型モデルの実現に向け検討を重ねてきました。

 

 平成21年7月、林野庁の平成21年度補正予算において森林整備加速化事業が実施され、木質バイオマス収集に関する調査事業が行われることとなりました。そこで中部流域のみならず県下の木質バイオマス利用を対象に活動することが適切と考えられましたので、「静岡県木質バイオマス協議会」と改称いたしました。新規会員も募集しておりますので、関心がありましたら事務局までお問合せ下さい。

 

平成22年4月

 

静岡県森林組合連合会

原川愛香

http://www.s-kenmori.net/

 

 

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