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コラム 学識者・企業人はこう考える!

- 「エコアクション21」の真髄 - 静岡大学 人文学部 大橋 慶士 氏

 

 「仏作って魂いれず」という故事がある。苦労して作り上げたのにあるいは物事をほとんど仕上げながら、肝心な最後の仕上げが抜け落ちていることのたとえである。ここでの仏は仏像のことである。ものごとには形式や技術ばかりを重んじ理念に欠けたことが少なからず見受けられる。

 

 環境省が1996年に策定し、その後の改定によりスタートした「エコアクション21環境経営システム・環境活動レポートガイドライン2004年版」に基づく「エコアクション21認証・登録制度」(「エコアクション21」)がスタートしてから5年が経過した。この制度は「ISO14001」の認証制度と同様に、環境経営システムの構築と運用のスペックに適合するかを審査され、これにパスすることで認証・登録される制度である。もちろん「エコアクション21」では先の「ガイドライン」がこのスペックとなっている。スペックはいわば形式としての器の部分である。その器から醸成されるものは、器に込める思い(理念)によって良し悪しが決まるといえよう。

 

 

 先日、神の手をもつという福島孝徳天才的脳外科医のドラマがテレビ放映されていた。その折、彼をスーパードクターと言わしめる所以を考えてみた。確かに彼の天性の手先の器用さ、自ら開発したメス、体力などはその大半を占めるであろう。しかし彼が他の医師が匙を投げるほどの極めて困難な手術を成功させる原動力は、何とかして患者を助けてやろうという強い思いである。手先の器用さなどを形式としての器とみるのは卑近であるかも知れないが、何事にも大事なのは思い(理念)であることに変わりはない。

 

 「エコアクション21」は、品質管理の神様といわれたデミングの考案したPDCAサイクルを環境経営システムに適合させたものである。Pは計画(plan)である。実は、このPの背後にあるものは事業体の理念である。環境経営に対する事業体の取り組み姿勢であり、PDCAサイクルから生まれる結果に大きく影響する。私たちはこの点を見落としがちである。

 

 「エコアクション21」の認証・登録制度には2年ごとに更新が伴う。すでに2回目の更新を行った事業体が数多くある。しかし更新が行われた事業体の中にはPDCAのCAが必ずしもうまく機能していないとの噂も聞かれる。この要因にはPDCAの構築・運用そのものにも問題点はあろうが、より重要なのは環境経営に対する事業体の理念である。いかに形式が立派であろうとも理念(魂)が込められていなければ、単なる形式を整えた器にしか過ぎない。

 

 「エコアクション21」は「ISO14001」と違い「環境活動レポート」と銘打っている。この認証・登録制度は、取り組み結果としての環境活動の報告を要求しているのだ。裏返せば事業体の環境経営に対する形式としての器ではなく理念がそこに凝縮されているといえる。スタートから丁度5年を経過し、改めてその制度の真髄を考えてみた。

 

 

平成21年11月

静岡大学

人文学部 大橋 慶士

http://www.hss.shizuoka.ac.jp/faculty/staffs/eco/ohashi.html

 

 

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