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コラム 学識者・企業人はこう考える!

- 生物多様性への注目 - 富士常葉大学 環境防災学部 小杉山 晃一 氏

 

 2010年、名古屋市で生物多様性条約の締約国会議(COP10)が開催される。

 

 生物多様性条約は、1992年の地球サミットで気候変動枠組条約と同時に成立した条約である。世界中で気候変動についての関心が高まる中、生物多様性に対する関心が今ひとつ盛り上がらないと言われていたが、ここにきて追いつきそうな様相を呈している。

 

 積水化学工業の大久保尚武会長が言うように、気候変動の問題よりも生物多様性の減少の方が重要な問題であると考える人は多い。なぜなら、食糧生産や医薬品の開発は直接生物多様性の減少によって影響を受ける可能性があるからだ。

 

 国連は、温暖化研究を上回る大規模な研究プロジェクトによってまとめられたミレニアムエコシステムアセスメントの報告書を2005年に公表した。それによると生物多様性の損失が世界の各地で進行している現状が明らかにされた。生物多様性の損失も待った無しの状態なのである。

 

 従来、企業が取り組んできた自然保護活動は、熱帯での植樹といった直接事業と関係のない分野が多かったと思われる。しかし、近年の取り組みはこれまでの社会貢献的取り組みとは大きく異なっている。資源採掘の現場での自然破壊はどの程度なのか、工場立地の場所はどの程度重要な自然環境なのか、産業廃棄物の最終処分地にはどのような生物が棲んでいたのか。そういった、企業活動そのものが生態系に及ぼす影響が評価され、また、影響を最小限に食い止める活動が進められている。こういった考え方は、企業活動よる汚染を製品やサービスの全ライフサイクルで把握し、評価しようとするLCAの考え方と同じである。少し違っているのは、従来の評価が人の健康と生活環境に絞られていたのに対して、野生生物の種の減少に対する観点が加わったということである。

 

 温室効果ガスの削減に尻込みしていると言われている日本経団連は今年、生物多様性宣言を発表し、この問題の重要性を内外に示すリーダーシップを発揮した。もはや生物多様性を軽視した企業活動はありえない状況が生まれている。無視できない以上、経済活動との両立を議論し、新たなビジネスチャンスとして正面から取り組む覚悟が求められているのだと思う。では、具体的にどのような展開が可能であろうか。

 

 

例えば、生物多様性を把握する技術やツールの開発。絶滅の危機にある生物資源の代用品の開発。生物多様性の重要性を学ぶための学習プログラムの開発。都市の人工的空間に野生生物が共存できる環境施設の開発。等など、考えられることは多い。こういった経済状況だからこそ、環境対策を経済成長を阻害する要因と捉えず、挑戦することが重要なのである。

 

 

 

平成21年11月

富士常葉大学

環境防災学部 小杉山 晃一

http://www.fuji-tokoha-u.ac.jp/index_pc.php

 

 

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