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ビジネス事例紹介 環境ビジネス成功の秘訣

木製残存型枠工法の普及に努めて(株式会社ヨコケン)

株式会社ヨコケン

設立年月 平成3年7月
資本金 1,000万円
従業員数 6名

静岡県は、県土の65%を森林に覆われており、森林管理には、間伐は欠かせない作業である。森林の管理や経営には、間伐材の有効利用を図ることが課題となっている。
今回は、間伐材を利用した「木製残存型枠工法」に取り組む島田市の潟コケン代表取締役横田川庄一氏にお話を伺った。

 

木製残存型枠(丸太式残存型枠・残置式型枠)、現場組立吊込み工法の組立金具の株式会社ヨコケン


―――まずはじめに、木製残存型枠工法とは?

山中の砂防ダムや堰堤工等のコンクリート構造物を作る際に、通常はコンパネ等の型枠を利用してコンクリート打設を行いますが、この工法はコンパネの代わりに間伐材を利用する工法です。間伐材を、専用の金具と鋼材を利用して現場等でパネル状に組立て、機械で吊り込んで設置を行い、コンクリート打設面に漏れ防止シートを張り、コンクリート打設を行う工法です。

―――インターネットの検索サイトで「木製残存型枠」と検索したところ、ヨコケンさんが検索結果のトップに出てきました。

はい、たまたま木製残存型枠工法に携わるのが他社さんより少しだけ早かっただけです。私は建設会社の勤務を経て、一般土木建設業者として24年前に個人で起業をしました。木製残存型枠工法との出会いは今から8年ほど前でしょうか。当時、県内において試験施工が始まったばかりで、おそらく静岡県内でも最初の頃の施工であったのではないかと思います。

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伊豆諸島 神津島(元請・稲久土木)。H21年、当社木製残存型枠のみ施工(600u)静岡県大井川水系の丸太を当社にて組立トラック・船にて運搬しました。

山梨県 精進湖 湖畔にあったH6年施工の木製残存型枠。よく見ないと気付かないくらい自然に馴染んでいます。

―――その当時のことについてお伺いできますか?

ええ、忘れもしない「木製残存型枠」の最初の現場は、150u、350本の木材を使用する工事でした。

当時「木製残存型枠」について当社で把握していたことは、細い丸太を金具を使って繋ぎ、型枠として利用するという程度でしたので、単純に木を1本1本持ち上げて金具で固定するという方法を試みました。しかし、たかだか直径10cm程度の丸太といえども、一本一本持ち上げるとそれは大変な作業でした。又3Kの仕事に逆戻りしてしまったと思いました。

その時考えていた支保資材で何かいい方法はないかと、平地に木材を並べてパネル状に組立、クレーン仕様のバックホウで吊って設置したらどうかと思いついたんです。早速、知り合いの鉄工場へ行って、金具の使用方法と形状を伝え、専用の金具を作ってもらいました。そしてこの金具を使って木材を固定してみたところ、思ったとおりの結果となりました。金具はハンドメイドで作ってもらっていたため、今に比べると非常に高価なものでしたが、施工が早く楽にでき『これだ!!』と思ったことを憶えています。

―――しかしいつまでもハンドメイドではコストもかかり普及もしませんよね?

そうなんです。当時、木製残存型枠工法を受注した事業者は、1本1本丸太を持ち上げて金具で固定するという、我々も経験した非効率な方法で施工を行っていました。そのため受注金額以内で施工ができなくなるなど施工業者を悩ませる事例が多く発生していました。

このような状況を危惧し、量産に向け動き出しましたが、金型1つ作るのには何百万円という投資が必要ということがわかりました。しかも金型は2種類必要で、更に、金型を作ったら在庫も抱える必要があり、今後残存型枠工法が増えるという保障もなかったので、当時、とても悩んだのをよく憶えています。

ただ、木製残存型枠工法普及のためには、金具の価格を下げることが絶対に必要だと思っていましたので、社運をかけて金型の作成に踏み切りました。この結果、金具のコストが皆様に販売できる単価に下げる事ができました。

木製残存型枠(丸太式残存型枠・残置式型枠)、現場組立吊込み工法の組立金具の株式会社ヨコケン

―具体的にはどのように組み立てるんですか?

間伐材は太さが様々で、左右の太さが違うものです。丸太を枕材の上に並べ左右同じ高さになる様調整し、一定の幅になる様切り揃えます。これに鋼材を専用の金具で固定し、パネルの完成です。

当社では、金具の受注をいただいたときに、最初の1回は、当社の人間が、無料で施工方法の指導に伺っています。木に金具を取り付けるだけですが、実は色々なコツがあり、自分たちが四苦八苦して長年培ったノウハウを提供することで、施工の安全性もスピードも格段に上がります

木製残存型枠(丸太式残存型枠・残置式型枠)、現場組立吊込み工法の組立金具の株式会社ヨコケン

―――普及活動をしていたときの苦労話など?

金型をつくり量産を開始した当初は、まだインターネットも普及していませんでしたので、電話で各方面に電話をして営業活動を行いました。しかし、今まで工事をしていた人間が物品の販売をするわけですから、簡単にはいきませんでした。

門前払いは当たり前で、時には罵声を浴びせられたりしたこともありました。でも中には熱心に話を聞いてくれる方もいて心の支えになりました。

いまはインターネットが普及しましたので、最近では鹿児島、奈良、岩手等全国からも注文が来るようになりました。現地での施工指導の時、一緒に組立ていると現場の皆様と仲良くなり、現場を後にする時 皆様に見送ってもらっています。遠方のため、無料で指導に行くと赤字になってしまいますが、最初の指導は投資と考えています。

おかげさまで県内では当社の提案した吊込み工法が知れ渡り、この工法が治山ダム工事の木製残存型枠工法としては主流となってきています。

―――山の中のコンクリート構造物は目立ちますから、景観保護にいいですね。

はい、この工法は脱落の危険性回避のため、構造物の背面(上流側)のみの使用がほとんどでしたが、周囲の景観に配慮し、施工後の管理ができる箇所等で表面(下流側)にも採用されてきています。前頁の写真は富士五湖の周辺道路沿いにある砂防ダム(16年経過)ですが、道路沿いにあるにも関わらず、走っているとそこに砂防ダムがあることに気がつかない方がほとんどです。又 神津島での施工は上下流そしてインクラ、馬天まで丸太で覆ってしまいました。

景観保護以外にも、地球温暖化防止の観点(※)から、森林を手入れしようという動きが強くなり、いま静岡県の森林では県発注による間伐作業が行われるようになってきています。間伐を行うことで、森林を健全な状態に保つ、すなわちCO2吸収量の増加が量られますが、これらの間伐材の用途として、木製残存型枠が利用されています。

※ 木は成長段階でCO2を多く吸収し、成長が止まるとCO2の吸収量はそれほど多くないとされています

―――セールスポイントは?

陸組し吊込みするため、ほとんど型枠の背面に入る事もありませんので、重労働から解放され、作業員を土砂の崩落の危険性から守る事ができます。又 施工の効率化が図れ、経費の削減と工期短縮が可能となりました。

丸太専用の単管ブラケットも開発し県の承認も得ております。

―――今後の目標など?

現在、金型の改良により今まで250枚で20kgだった金具を300枚で15kgまで軽量化することができ、金具も工法も、とりあえずは確立されています。しかし、まだまだ改良段階であり、今後も改良を重ねることにより施工の質やスピードの向上を図りたいと考えています。

先ほど例に挙げた、富士五湖近くの現場は施工後16年が経過していますが、今も周囲の自然に溶け込んでいます。

今後は「木製残存型枠工法」を、景観を重視するコンクリート建造物の表面に使ってもらいたく思っています。

また木製残存型枠工法を取り入れている地方自治体は、静岡県を含めてまだ1/3もなく、これからまだ日本の森林の再生、木材のリサイクルには必要な工法と考えています。

間伐材及び使用されていない細丸太を利用する事で日本の林業にそして施工者にも喜んでもらえる製品作りを心掛けていく所存であります。

横田川 庄一(よこたがわ しょういち)
昭和31年7月22生 54歳
モットー 『あきらめない! 一度しかない人生 扉を開けて!』
趣味 陶芸、燻製(鮪のカブト)

 

 

株式会社ヨコケン( http://www.kk-yokoken.jp/ )
島田市神座1246−1
TEL:0547−32−0719 FAX:0547−32−0850
e-mail mail@kk-yokoken.jp

 

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