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ビジネス事例紹介 環境ビジネス成功の秘訣

老舗のプライド〜天然繊維ネット・ロープ〜(山弥織物株式会社)

山弥織物株式会社

従業員数:21名
資本金:1,000万円
創業:戦前(昭和60年に法人化)

北海道のナガイモ栽培用ネットを、廃棄物削減のため天然繊維で開発した企業が静岡県内にあると聞き、早速取材に行ってきました。今回は、浜松市の山弥織物株式会社 代表取締役社長 刑部栄三 氏にお話を伺いました。


会社概要

当社は、戦前に創業した天然繊維のみを撚糸する織物店です。
浜松市は、全国有数の繊維産業の街でしたが、現在ではそのほとんどが海外で行われるようになり、市内でも撚糸業を営む企業は数えるほどです。当社は、天然繊維のみを扱い、特殊な技術を駆使した撚糸で作り上げた素材を、高級婦人服メーカー様へ提供する役割を担っています。

異業種からの相談

今から10年ほど前の話ですが、とある縁で北海道の農家様からナガイモ栽培用ネットに関するご相談がありました。
内容は、「天然繊維でナガイモ栽培用ネットが開発できないだろうか。」というものでした。

ご相談にお応えするため、早速、北海道に飛びました。
ナガイモは、全国生産量の60~70%が北海道で作られており、長野、青森の3生産地で国内生産量のほとんどを占めています。北海道で栽培されるナガイモは、1畝の長さが360mから570mもあり、高さ2mを超える高さのプラスチック製ネットにびっしりと巻き付いたツルは、まるで壁のようでした。収穫時期には、ツルが絡みついたネットを畝ごとに撤去し、土中の芋を掘り起こし、収穫が行われます。

ナガイモ栽培の様子

栽培前の様子


撤去したネットにはナガイモのツルが複雑に絡みついており、ネットからツルを外すことは事実上不可能です。そのため通常は産業廃棄物として処分されますが、発生量が多いこと、ナガイモ農家は帯広周辺に多くあり、産業廃棄物処理業者のある苫小牧とは200kmも離れていました。

つまり、ネットがプラスチック製で、たい肥化ができないために、産業廃棄物として処理するしかなく、その費用が大変高額となっていることが、農家さんの大きな負担になっていたのです。

新しいモノづくり

プラスチック製のナガイモネットを天然繊維製ネットで作る際、クリアしなければならない課題が2つありました。1つは価格、1つは強度です。
競合品であるプラスチック製ネットの価格を考えると、メインになる素材は天然繊維の中でも安価な綿としました。しかし、先に説明した通り、2mを超える高さのネットにツルがびっしりと巻き付きますので、ネットにはかなりの荷重がかかります。残念ながら、綿だけでは強度が足りません。対応策として、混紡という方法を取りました。混紡とは、2種類以上の異なる素材を使って糸をつくることをいいます。今回は、繊維としては古くから利用がされ、強度も十分な竹の繊維を、価格と強度のバランスを考慮し、綿との最適配合率を導き出し、採用することとしました。

強度を持った糸の開発は目途が立ちましたので、ナガイモネット試作品の製作に向けてネット加工の請負先を探すことになりました。まずは県内の企業に相談したところ、残念ながら糸に適合する製造機械がなく、次に近隣県、最終的には国内の考えられる全てのネット製造企業を当たりましたが、当社の糸を加工可能な工場は見つかりませんでした。理由は、現在国内で製造されているネットの100%が化学繊維製であり、天然繊維の糸を編むのに適した機械は、残念ながら既に国内には存在しない、ということでした。

やむを得ず、海外の生産地を探し、最初に中国、次にインドネシア、そして3ヵ国目のベトナムで、ようやく天然繊維を編むことができる機械を見つけることができました。
北海道のナガイモ農家様の相談から、実に4年後、綿と竹を混紡した糸でつくられたBC(BCはbamboo(バンブー=竹)とcotton(コットン=綿))エコネット試作品の完成です。

刈り取ったツルとBCエコネット(収穫直後)

刈り取ったツルとBCエコネット(6か月後)

撚糸屋の意地

早速、サンプルをお届けするため、北海道のナガイモ農家さんにお邪魔し、ネット張りを行い、施工性を確認しました。その後、半年経った収穫時期間まで、BCエコネットはナガイモのツルの重さに耐え、ナガイモ栽培への使用が実証されました。

刈り取ったナガイモのツルとネットは、畑の隅に堆積し、たい肥化までの経過を観察しました。北海道のため、11月の収穫後はすぐに雪中となりますが、ツルとネットは約6か月で十分に腐熟し、土に還りました。
BCエコネットは、プラスチック製の既存ネットと比較すると高価ですが、たい肥化が実証されたことで、産業廃棄物収集運搬費及び処理費用が不要となり、トータルコストで比較したときに、十分な価格競争力のある製品である、と証明できました(現在、北海道のナガイモ栽培では5年の実績あり)。

BCエコネットは2011年より販売を開始、その後、農家さんからのご要望で、ロープタイプのBCエコロープを昨年度より販売を開始しました。
県内では、ナスやトマト、キュウリの栽培農家さんでも、誘引のためにPPロープを使って
いますが、ナガイモ同様に、片付けに手間がかかることから、BCエコロープに大変好評いただいています。
特に、路地での省力栽培として大変注目を集めているトマトのソバージュ栽培では、明治大学農学部本木先生と共同研究を実施し、BCエコロープをご利用いただいています。

今後の目標
北海道のナガイモ生産地におけるネットの市場は20億円と言われています。
現状では、ほとんどのナガイモ農家様が、収穫後のナガイモのツル・葉とプラスチックネットの処理に手を焼いています。
当社のナガイモネットをよりたくさんのナガイモ農家様に知っていただき、廃棄物の削減に寄与し、温暖化防止にも貢献ができればと考えております。


刑部栄三(おさかべ えいぞう)
山弥織物株式会社代表取締役社長

 

 

 

 

 

山弥織物株式会社(http://www.yamayaorimono.co.jp/
浜松市西区篠原町21968
電話053-449-0155 FAX 053-448-2397
e-mail: info@yamayaorimono.co.jp
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