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ビジネス事例紹介 環境ビジネス成功の秘訣

木質ペレットを利用した冷暖房施設(静岡県森林・林業研究センター)

静岡県森林・林業研究センター

県では、平成26年2月に、木質ペレットを燃料にした冷暖房施設を、県有施設では初めて森林・林業研究センターに導入しました。
今日は、木質ペレット冷暖房施設について静岡県森林・林業研究センター企画指導スタッフ伊藤やす絵主査にお話を伺いました。

写真:センター本館


森林・林業研究センター概要
 静岡県森林・林業研究センターは、昭和32年に林業育種をはじめとした各種林業技術の向上のため、静岡県林業試験場として設置されました。その後、組織再編に伴い、平成19年度から現在の名称である「森林・林業研究センター」に改め、森林・林業・木材産業に関する試験研究、出前講座など技術指導・情報提供及び木材強度試験など委託検定の業務を行っている機関です。

 今年度は、静岡型エリートツリー(初期成長に優れ、高強度で、花粉が少ないスギ)の開発、環境の変化に対応したシイタケ等栽培技術の開発等、8つの研究を実施しています。

進まない木材利用のため
 静岡県は県全体の64%が森林であり、うち82%が民有林(県有林も民有林に含まれます)、そのうちの59%が人工林となっています。人工林のうち、植林後41年以上経過した面積が83%を占め、いま一斉に主伐期を迎えています。
しかしながら、集成材や安価な材に押され利用が進まず、平成24年度における林業算出額では、木材生産は31億円で、栽培きのこの57億円よりも低い現状にあります。

 このような状況の中、木材利用推進策の1つとして、県では、林業・木材産業構造対策事業により、小山町内にペレット工場整備を支援し、平成23年7月より、富士総業株式会社(こちらのレポートをご覧下さい)が工場を稼動しました。また、浜松市が地域グリーンニューディール基金事業によりペレット工場を市内天竜区龍山町に設立し、龍山森林組合が同じ平成23年7月より稼動しました。

 一方その頃、当センターの重油焚冷暖房空調施設が更新時期を迎えており、木質ペレットの利用を推進するため、木質ペレット焚き冷暖房施設の導入をすることとなりました。当センターには、全国に先駆けて建設された大断面集成材を使用した大規模木造建築物をはじめとした木造施設が数多くあることから、年間2,000人以上の来館者があり、当センターにおける木質ペレット焚冷暖房施設の導入は、木質ペレットの普及・促進の面から、大きな効果が期待できました。また、もともとの重油焚冷暖房空調施設の配管や建屋がそのまま再利用できるということも、導入の一因でした。

ペレット保管用のサイロ(容量:6,300kg)

ボイラー室

吸収冷熱温水機
夏場にペレットを燃やすことで冷風が得られるというと皆さん驚きますが、その仕組みはこうです。
吸収冷温水機は、水の気化熱を利用するもので、夏場の打ち水と同様の仕組みといえます。内部では、蒸発 → 吸収 → 再生 → 凝縮 のサイクルを繰り返しており、真空状態の機器内部に巡らされた冷水パイプに水を滴下すると、パイプの熱により蒸発(真空状態では水は5度で蒸発する)し、その際に冷水パイプ内の水が冷えるため、この冷水を冷房に使用します。発生した水蒸気が増えると機器内部の真空状態が保てないため、水蒸気は吸湿性の高い臭化リチウム水溶液で吸収させます。

 水蒸気を吸収した臭化リチウム水溶液はだんだんと濃度が薄くなってしまうため、これを加熱し、水分を蒸発させ、濃い臭化リチウム水溶液に戻します。蒸発した水蒸気は冷却塔で液体の水に戻し、また蒸発用の水分として利用するというサイクルが繰り返す方式です。

稼働1年を経過
 導入前の重油焚き冷暖房施設は、重油を年間で10,100リットル(冷房6,800リットル、暖房3,300リットル)使用して冷暖房(冷房136,200kcal/h、暖房58,500kcal/h))を行っていました。導入施設は30RT×2台(RTは冷凍トンと読む。1冷凍トンは、1日に1トンの0度の水を氷にするために除去すべき熱量)で、一般家庭用エアコンの約120台分の能力を保有しています。

 導入してから約1年が経過し、年間におけるランニングコストも見えてきました。平成26年度のペレット購入量は年間で15.1トン、購入費用は約70.1万円で、原木に換算すると約25.2(15.1t×1.67=25.2)m3となります。ペレットは龍山森林組合で製造されたものを100%利用しています。これまでの重油焚き冷暖房施設と比較して、冷暖房能力や設定温度までに要する時間など遜色はなく、使い勝手も一般的な冷暖房設備となんら変わないうえ、効率はよくなっております。

 平成26年度は、自治体職員や各財産区メンバー等による、ペレット焚き冷暖房施設など、センターの施設見学や森林・林業に関する視察を目的とした約520名に直接紹介をし、センター全体の利用者年間で合計約2,400人へ普及啓発を行うことができました。

 発生した灰は、ペレット15.1トンからドラム缶約2本分でした。灰はドラム缶に直送される仕組みになっているため、職員等による灰掻きの必要はありません。また、ダイオキシンの分析を実施したところ、基準値以内で無害という結果が出ましたので、センター敷地内で土壌改良材としての利用の検討を行っています。

熱交換機器類

冷却塔

今後の目標
 県内2箇所のペレット工場の製造量は、設備能力のまだ半分程度です。ペレット式冷暖房施設は、重油焚き設備と比較して、ランニングコストは90%程度(平成27年2月現在のA重油価格と比較して)に抑えられますが、初期投資が高額であるといわれており、普及の足かせにもなっています。

 山には間伐材や通常使用しない根元部分など、ペレットの原料となる資源はたくさんあります。山の力を余すところなく使用するため、ペレット焚き冷暖房施設の普及啓発に、今後も力を入れていきたいと思います。

※ 視察等を受け入れています。当センターの冷暖房の稼働期間は、毎年冷房が7月15日〜9月15日、暖房が12月15日〜3月15日です。お気軽にお問合せください

 

伊藤やす絵(いとうやすえ)

静岡県農林技術研究所森林・林業研究センター主査

 

 

 

 

静岡県農林技術研究所森林・林業研究センター
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