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ビジネス事例紹介 環境ビジネス成功の秘訣

地球温暖化への適応事例 〜耐暑性向上エキスによるバラ施設園芸での高温障害の抑制〜 (地域課題に係わる産学共同研究委託事業)

※ 今回の取材は、静岡市産学交流センターによる平成26年度地域課題に係わる産学共同研究委託事業採択案件の取材です。

避けられない一定の地球温暖化に対して、いかに適応していくか、今回はそんな話題です。
静岡市産学交流センターによる平成26年度地域課題に係わる産学共同研究委託事業で、「耐暑性向上による花色、花形、香りに優れたバラ生産技術とアロマ製品の開発」というテーマで採択を受けた産学共同研究メンバーの皆さんに取材にご協力いただきました。

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バラの一大産地「静岡」
 静岡県はバラの生産が盛んで、平成24年度の出荷量では全国第2位の実績を誇ります。特に静岡市はバラを地域産業資源に認定、県内最大規模の生産が行われており、年間に380万本を出荷しています。バラは日本人が好む花の1つですが、園芸webマガジンとして人気のあるwebサイト「アイリス ガーデニングドットコム」の投票調査では、好きな花ランキングの第1位がバラという結果が出ており、バラ栽培は本県における重要な産業であるといえます。

 しかし、平成24年度における国内のバラの月別卸売状況によると、夏場の卸売数量は最盛期の約60%、1本当たりの価格は最高期比較で半値以下まで下落しています。

全国のバラ出荷量(H24)

国内のバラの月別卸売り状況

バラの高温障害
 夏場のバラの生産性低迷の原因には、葉枯れ、徒長(伸び過ぎ)、生産量の減少、花の品質低下が挙げられ、これらはすべて高温障害によって生じることが知られています。特に、温暖な本県では、夏季の気温上昇がバラの生育には悪影響を及ぼしています。

 これまで地球温暖化は、地球の高温期と低温期の周期変動や太陽活動の影響など、様々な推測がありましたが、先に発表された国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)発表の評価報告書によると、地球は疑う余地なく温暖化しており、地球温暖化の原因の95%以上が二酸化炭素であると公表されました。

 地球温暖化による農産物への影響は様々ですが、本県では、米の未熟粒の増大、みかんの浮き皮(実が皮から浮いてしまい傷がつきやすくなる)、果樹の着色不良、農作物の栽培適地の北上、等々があげられています。

 IPCCは、今世紀末までの世界平均地上気温の変化予測は0.3〜4.8℃である可能性が高い、としており、バラの一大産地である本県は大きな打撃を受けることが懸念されています。

耐暑性付与剤「サーモザイム」
 話は変わり、10年ほど前の話になります。
静岡大学で植物のストレス耐性を専門に研究していた原正和教授は、タケニグサという野草に含まれるサンギナリンという物質に熱耐性があることを世界で初めて発見しました。

 植物には、もともと熱に耐性を持つ機能があり、これを司るのが熱ショックタンパク質です。通常、熱ショックタンパク質は、外気の緩やかな温度変化を受けて徐々に活性化します。しかし近年は、4〜5月の植物が熱耐性を持つ前の時期に急激に気温が上昇することがあり、大きな被害が発生するようになりました。

 原教授は、植物がまだ苗の段階でサンギナリンを散布することで、植物体内での熱ショックタンパク質の産生を誘導し、非常に効果的に熱耐性を持たせることを実証しました。こうした原教授の基礎研究を元に、静岡市に本社を置く富士見工業が研究を引き継ぎ、圃場での実験を経て製品化したのが、耐暑性付与剤「サーモザイム」です。

バラの耐暑性向上
 そこで、静岡市のバラ栽培農家「鈴木バラ園」にご協力いただき、バラ高温障害へのサーモザイム効果の検証研究を実施しました。

 「サーモザイム」を散布したバラと散布していないバラの比較実験を行い、高温障害による徒長の抑制、葉枯れ防止、収穫枝のもとになる若い枝「ベルサールシュート」数の増加、収穫可能性本数の増加、花弁数の増加など、サーモザイム散布の効果を確認することができました。

 また、最高気温が32~40度の特設温室による検証試験も併せて実施したところ、「サーモザイム」無散布のバラには葉枯れが多発しました。葉枯れの葉中のカルシウム(Ca)含有率を調べると健全葉の約70%と低く、Ca吸収阻害が確認されました。これに対して、「サーモザイム」散布のバラには葉枯れが少なく、高温障害によるCa吸収阻害が抑制されたことが推察されました。

サーモザイム無散布

サーモザイム散布

バラを活用したアロマ商品の開発
 バラは生花として楽しむ他に、香りを抽出する原料にもなります。本研究では、マスクにあてる気分爽快ウェットシートにバラから抽出した香りを採用しました。花粉や風邪など適度な湿り気が必要なときにマスクの内側にあてて使用する商品で、バラの香りで癒されると評判です。

今後の目標
 野草タケニグサから抽出したサンギナリンを主成分とする天然の耐暑性付与剤「サーモザイム」の使用により、夏場の静岡バラの生産性の向上とバラの香りの向上に成功しました。また静岡産バラを原料に使用したアロマ製品を開発することができました。
そして今回の実験において、バラの香り成分に対して、我々が想定していなかった効果も確認されました。今後は、この香り成分の活用について、更に研究開発を実施して参ります。

 最後になりますが、この産学官の取り組みでは、タカダテクノコンサルタントの高田氏を中心として、各構成メンバーが持ち味を生かしたことで、貴重な成果を得ることが出来ました。これを機に、更に研究を進めています。

連絡先:タカダテクノコンサルタント
連絡先:takada(@)za.tnc.ne.jp
     (迷惑メールの送信防止のため、メール送信の際には、@(あっとまーく)の両側のカッコを手動で削除してください)

 

構成メンバー
株式会社発電マン、静岡大学グリーン科学技術研究所 原正和教授、静岡大学創造科学技術大学院統合バイオサイエンス部門 渡辺修治教授、富士見工業株式会社、静岡県工業技術研究所、鈴木バラ園、株式会社コーヨー化成、タカダテクノコンサルタント  ※ 採択案件メンバーとは異なります。

 

 

 

連絡先:タカダテクノコンサルタント
連絡先:takada(@)za.tnc.ne.jp
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