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ビジネス事例紹介 環境ビジネス成功の秘訣

世界初!微生物でウレタンをリサイクル(日本プラスト株式会社)

日本プラスト株式会社

設立年:1948年10月9日
資本金:32億円
従業員数:約7,800名(国内 約1,100名)

ウレタンは、使い勝手がよい反面、リサイクルが難しい素材で、サーマルリサイクルや埋立をメインに処分されています。今回はウレタンのリサイクルに微生物分解で取り組む、富士宮市の日本プラスト株式会社経営企画室企画課係長鈴木健介氏とテクニカルセンターの皆様にお話を伺いました。


会社概要
当社は自動車用エアバッグやハンドル、内外装樹脂部品を製造・販売しており、富士宮市にある本社、テクニカルセンターの他、静岡県、三重県、群馬県と福岡県に国内工場、また北米・中国等に9の生産拠点と3の開発拠点を展開しています。自動車の内外装部品の原料の多くは樹脂です。当社では、最新の樹脂成型技術に加飾技術を加え、機能性とデザイン性を高めた快適空間を提供、さらに車の軽量化にも貢献したパーツを製造しています。

ウレタンとは?
ウレタンは、一般的にはポリウレタンと呼ばれており、ポリオール、イソシアネートの反応により製造されるものです。断熱性やクッション性に優れるといった特徴があり、ベッドのクッション材や冷蔵庫等の断熱材、合成皮革として衣服や服飾品等、私達の生活の様々なところで使用されています。当社では、自動車のステアリングホイール(ハンドル)の原材料の1つにウレタンを使用しており、ハンドル製造の過程で製品の品質を保つために製品重量より多くの投入量(オーバーフロー)が必要となる為にウレタン廃棄物が発生していました。

一般的に、ウレタンをリサイクルする方法は、マテリアル、ケミカル、サーマルの3種類があります。マテリアルは、破砕等してウレタン樹脂のままリサイクルする方法、ケミカルは、化学分解等で元の原料を回収する方法、サーマルは、ウレタンを燃焼して熱を利用する方法です。しかし、このうちマテリアルとケミカルは、技術的な課題が多いためにコストが高く、現実的にはサーマルリサイクルがほとんどで、地域によっては埋立処分されるところもまだまだ少なくありません。
効果的・効率的なリサイクルの方法は、ウレタンに限ってはまだ見つかっていないのが現状であり、当社としてもウレタンのリサイクルは一つの課題でありました。

ウレタン廃棄物

微生物分解後に粉砕

帯広畜産大学との共同研究
ウレタンのマテリアルリサイクルでは、ウレタンを粉砕する必要がありますが、ウレタンは伸びやすいため、常温での粉砕が困難です。現状の世にある技術では粉砕するには、伸びを抑える為の処理としてウレタンを凍結固化させる必要がありますが、媒体として液体窒素等を使用する必要が有る為、加工費用が膨大となり、実用化には難が有ります。そこで、当社としても何か新しい技術でウレタンがリサイクルできないか研究を進めていました。

当社の研究開発の向上はもちろんですが、外部の大学や研究機関等のウレタン分解に関する情報収集を行い、その過程で帯広畜産大学と知り合い共同研究を始めることになりました。

微生物によるウレタン分解の成果
自動車部品は、夏の炎天下における高温環境から冬季の厳寒環境まで、幅広い環境に対応する品質が求められるため、非常に頑強にできています。当社のハンドルも同様に高品質が求められており、ハンドルの原料のウレタン自体も頑強にできています。そのためか、微生物によるウレタン分解も共同研究の初期段階ではほとんど分解が進みませんでした。その為、別の特殊な処理を施せば、分解が促進されるのではないかとか考え研究を進めてきました。共同研究での調査の結果、酸やアルカリとは別の物質の1つに効果がある事が分かり、その物質で特殊な処理を行う事にしたのです。その結果、今まで数%の分解に留まっていたウレタンが、この特殊な処理を施すことにより、ウレタンの内部構造に変化が起き、ウレタンをパウダー状に粉砕する事ができるようになったのです。分解といっても、見た目が大きく変わるということではありません。ウレタンの発泡セルの内部に微細な空洞ができ、多孔質な形状に変化し、粉砕を容易にすることが出来た為、当社におけるウレタンのマテリアルリサイクルの可能性が見えてきました。

エヌポーラスを利用した吸音材

リサイクル素材を利用したステアリング
(黒い粒々がリサイクル素材)

リサイクル後の用途
ステアリング製造時の副産物ですので、ステアリングの原料として再利用する予定です。
また、内部構造の変化により、これまでとは異なる新たな機能を持たせることができました。それは、吸音性、吸水性、保水性です。吸音性については、低波長領域の音を吸音する性質があることがわかってきました。一般的に、吸音材は高価なものが多いのですが、廃棄物の有効活用である当社の場合、低価格でのご提供が可能なものと考えています。
高い吸水性と保水性については、土の代わりに植物を育てるための資材としての利用等を進めています。パンジーの生育試験では、5ヶ月間以上生育するという良好な結果が得られています。
我々はこの微生物分解後のウレタン粉体を「NPORUS(エヌポーラス)」(商標登録出願済み)と命名し、高付加価値をつけてゼロエミッションの達成にも寄与する材料として、今後も新たな分野での活用・新商品開発に向けた研究に取り組んでまいります。

今後の目標
ウレタンのリサイクル技術の開発は、これまで大手企業を含め、たくさんの方々が取り組んできましたが、サーマルリサイクルに経済性で勝てるリサイクル方法がありませんでした。
そのため今回の微生物を利用したウレタンのリサイクル方法が開発できたことはサーマルリサイクルに経済性で勝つための大きな一歩となります。
その他、当社のエコを意識した活動としてセルロースナノファイバーをはじめとする脱石油系の材料へのチャレンジや、塗装やメッキを使用しない、素材そのものの加工技術向上による品質の向上に努めて参りたいと思っております。

 

(右から)
岩本寛行(いわもと ひろゆき)
先行開発部企画マーケティング課係長
杉山康二(すぎやま こうじ)
先行開発部次長兼安全商品企画課長
遠藤和幸(えんどう かずゆき)
先行開発部シニアアドバイザー
鈴木健介(すずき けんすけ)
経営企画室企画課係長
渡辺祐太(わたなべ ゆうた)
先行開発部マテリアル開発課


 

日本プラスト株式会社(http://www.n-plast.co.jp/)
静岡県富士宮市山宮3507-15
TEL(0544)58-6830


 

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