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ビジネス事例紹介 環境ビジネス成功の秘訣

かつお副産物の付加価値化への挑戦(株式会社かつお技術研究所)

株式会社かつお技術研究所

設立年月:1997年5月
資本金 :5,000万円
従業員数:12名

かつお節や缶詰等のかつお加工品の副生物の高付加価値化検討を目的に、味の素株式会社と株式会社柳屋本店、ヤマキ株式会社の合弁事業会社として、主に親会社3社への原料の開発・生産・供給を行っているのが「株式会社かつお技術研究所」だ。今回は代表取締役社長富松徹氏にお話を伺った。



企業概要
鰍ゥつお技術研究所は鰹節団地の名で親しまれている焼津市惣右衛門の焼津水産加工団地の中にあります。焼津港は全国の鰹水揚げ量の約半分を担う日本一の漁港です。水産加工団地では約5万トン/年の鰹を加工しており、そこで発生する魚由来の残渣は組合で、まとめて魚粉等に加工され、飼料や肥料としてリサイクルされています。

当社は1997年、味の素株式会社と株式会社柳屋本店の共同出資により設立され、かつお加工品の副生物の高付加価値化研究を行っています。2007年にはヤマキ株式会社が資本参加し、3社での共同出資会社となりました。

当社隣には竃屋本店の鰹節工場があり、そこで発生するかつおの副生物(煮汁、頭、内臓、ハラモ、尾等)を原料とし、当社において加工用の調味料素材を製造しています。これらは味の素鰍ニ竃屋本店で製造される製品の原料の一部として利用されています

副生物(頭、はらも、尾、他に内臓等)

有名なあの商品にも
原料の鰹は、(株)柳屋本店にて、冷凍されたものを約1晩かけて解凍します。最初に頭、内臓、ハラモ、尾を落とします。これら残渣部が約30%、残りの70%のうちトリミング時にトリミング残渣が約10%発生し、煮熟時及び焙乾時にエキス(煮汁)と水分が約40%発生し、最終的に鰹節になるのは、鰹の約20%です。これら副生物(残渣)のうち、煮熟時のエキスについては、調味料素材として100%利用ができています。

頭、内臓、ハラモ、尾については、全体の約2%をかつお魚醤、かつお醤油、かつお液肥として製品化、それ以外のものについては、組合で魚粉等にリサイクルされています。

当社で製造している製品は先にもお話した通り、親会社の製品原料の一部として利用されており、例えば、おなじみ風味調味料の「ほんだしR」(味の素(株))、かつお魚醤を用いた生臭みのない加工用(業務用)コク味調味料「コクマッチ(かつお魚醤)」(味の素(株))、煮汁そのものの品質からこだわった加工用(業務用)調味料「調味ベースかつおGA<極厚>(味の素(株))」などに使われております。

製品の原料はすぐ隣の鰹節工場から入手し、鰹節工場スタッフとも会話ができる距離にありますので、通常では品質がコントロールされていない副生物も、その品質管理が可能となっています。具体的には、頭・内臓を含まない煮汁や鮮度のよい副生物を入手できることが、当社の強みになっております。

採算が難しい副産物利用
副生物の利用については、1997年の設立から15年間の間、ありとあらゆることをやってきたと言っても過言ではありません。脂を肥料にできないか、端肉を使った佃煮製品開発等々、試作段階では相当数のものを作ってきました。

素晴らしい製品ができたとしても、価格面での競争力がなければ所詮は定着はしません。当社のターゲットは、恒常的に必要とされ、リピーターに買ってもらえる製品です。

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かつお魚醤油製造の様子@

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かつお魚醤製造の様子A

ですから試行錯誤の末に商品化まで漕ぎ着けたものは、そのうちのほんの極わずかで、カツオエキス類、こうじ節(生ハムタイプ)類、カツオエキスコク味タイプ類、かつお魚醤類(いしる、しょっつる、ナム・プラーが魚醤として知られている)、かつお醤油類、かつお液肥類の6カテゴリーです。(現在は既に販売を終了したものも含みます)

「コク味」を追い求めて
今後の成長を期待している商品のかつお魚醤は非常にコク味のある製品ですが、かつお魚醤のコク味は日数の経過とともに酵素により分解され、ある一定の環境下では1ヶ月程度で急激に低下してしまうというデータもあります。


一方、強い加熱によってこれら酵素を失活すると、折角のおいしさが損なわれてしまいます。そこで酵素の除去のため、味の素鰍フ技術(特許(再表2004-017763))である「UF膜処理技術を用いた酵素の除去」を魚醤の製造工程に用いています。

※ コク味(mouthfulness)…五味の次に感じる中味や後味といわれるもの。コクがあると味に深みを感じたり、味わいを豊かに感じる。

一般的にUF膜は高価ということもあり、化学工業や医療分野などで使用されることがほとんどです。味の素鰍ナは高い技術力を活かしてこうした研究を行っており、かつお技術研究所は、味の素鰍始め親会社の技術を活用して製造をすることが可能です。

UF膜処理技術を用いた酵素除去装置

2倍になった魚価
2006年までは、原料の鰹はおよそ100円/kg前後で取引されてきました。その後、2007年から2008年にかけて鰹の水揚げの減少により、一時的に価格が高騰したものの、2009年には100円/kg前後に戻り、落ち着きを取り戻したかに見えました。しかし、2010年からは再び価格が上がり始め、2011年3月には165円/kgを記録、そして同年12月には円高にも関わらず198円/kgを記録しました。

なぜ今、魚価が上昇しているのでしょう。
様々な原因がありますが、一言でいえば世界における魚の需要が増していることが上げられます。

世界最大の鰹の漁場は、日本の遥か南、中西部太平洋の熱帯海域です。これら海域では、各国から大型の巻き網漁船が漁を行い、その多くがタイで加工されています。タイは約60万トンを輸入し、ほとんどを缶詰(いわゆるツナ缶)に加工、50万トンを輸出しています。

これらの缶詰は、安価なタンパク源として、世界各国で需要が年々高まっています。タイは、いま世界で最も鰹の集まる国となり、鰹の価格もタイで決まるとまで言われるようになりました。

鰹の漁獲量が年々増加してくると、中西部太平洋周辺海域の島嶼国は、排他的経済水域内でのマグロ・カツオ漁業許可について条件等を設ける「ナウル協定」を締結しました。

これにより、集魚装置の使用禁止や、操業日数の制限がなされるようになり、需要の増加と相まって、魚価に影響が表れるようになりました。

副生物の利用が日本の食卓を守る
将来的に、世界の鰹需要が減少することはないでしょう。また、2011年8月の第7回中西部太平洋まぐろ委員会科学部会(WCPFC-SC)では、鰹の漁獲量は中程度であり、鰹資源は持続的であると判断されていますが、一方で鰹資源の減少を懸念する声もあり、鰹の漁獲量を増し続けることは、資源保護の観点からも難しいものと思われます。魚価の高騰が続くと、いずれ鰹節や鰹から作られる様々な製品は庶民の口に入らなくなることが想像されます。

どんなに魚価が上がっても、皆様に鰹節を適正な価格で提供し続けるにはどうしたらよいか、それには副生物の高付加価値化をやり遂げなければならないと考えています。

かつお魚醤については、製品開発に成功し、また親会社において、販売のためのアプリケーションも整ってきました。今はまだ小さな製造設備ですが、ある程度の目処が立てば設備投資して、副生物の利用率を高めていきたいと考えています。

それと、既に製造しているかつお液肥ですが、これをもっと付加価値の高い商品にしたいと考えています。こちらも成功すれば、更に副生物の利用率を高めることができます。

かつお価格の高騰でも、適正な価格で鰹節が提供できるように、これからも副生物の高付加価値化について、日夜研究開発を進めて参りたいと考えています。

富松 徹(とみまつ とおる)
株式会社かつお技術研究所代表取締役社長。
タイ赴任歴4年。
東南アジアとのビジネスを立ち上げたいですね。

山本 剛(やまもと つよし)
株式会社かつお技術研究所 研究開発部。
2010年に竃屋本店から当社に出向。
得意分野は鰹エキスの研究開発。

 

株式会社かつお技術研究所http://katsuogiken.com/
焼津市惣右衛門1320−1
TEL:054-624-0108 FAX:054-625-2008
問い合わせ( http://katsuogiken.com/inquiry.html )


 

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