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ビジネス事例紹介 環境ビジネス成功の秘訣

静岡県環境ビジネス協議会視察会報告

訪問先
  ・ 先端農業推進拠点AOI-PARC(agri open innovation practical and applied research center)(沼津市西野朝霞317)
  ・ 有限会社石井育種場(静岡市駿河区池田710)電話:054-262-2965

静岡県内の環境ビジネス育成支援等を行う静岡県環境ビジネス協議会(事務局:静岡県環境資源協会、静岡県環境政策課)の視察会が、平成29年8月30日に開催されました。
今回は農業分野をテーマとして、今年の8月、沼津市の元東海大学跡地に開所した先端農業推進拠点AIO-PARC、静岡市駿河区でキャベツ等の品種改良を行う石井育種場の視察が行われました。



先端農業推進拠点AOI-PARC(agri open innovation practical and applied research center)(沼津市西野朝霞317)

静岡県では、ICT等の先端的な科学技術や製造業など、様々な分野における技術を農業分野に応用し、農業の生産性の確信(高品質化、高機能化、高収量化、低コスト化)を図る静岡県先端農業プロジェクト(AOIプロジェクト)を立ち上げました。生産された農産物の成果は農業産出額の増加となり、 「おいしい・体によい」農産物提供による消費者の健康に貢献し、流通加工や消費に関連する産業の活性化に寄与するものです。これらの実現のために整備されたのがここAOI-PARCです。
元東海大学開発工学部が沼津市に無償譲渡され、現在、県が沼津市から無償で借り受けています。
プロジェクトの推進機関は(一財)AOI機構で、コーディネータ等の専門人材を配置し、ビジネスマッチングの推進を担います。
AOI-PARCに入居するプレイヤーは、学術・研究機関と農業関連の研究開発を行うラボタイプ入居者、研究やビジネス支援を行うオフィスタイプ入居者の3つがあり、互いにアイデアを持ち寄って、連携しながら研究開発を進めます。

 

学術・研究機関

機関名 拠点における取組
静岡県農林技術研究所次世代栽培研究センター (作物の機能性技術・生育促進技術、品種開発効率化技術の開発)
慶應義塾大学 (情報科学を活用した作物の最適栽培環境条件、食と健康の関係解明に関するビッグデータ)
理化学研究所 (光技術を活用した作物状態の精密計測技術、品種開発のための高効率変異技術の開発)

ラボタイプ入居者

事業者名 拠点における取組
鈴与商事(株) トマトの低段密植栽培実用化に向けた育苗技術の開発
(株)アイエイアイ 有機液肥を用い閉鎖環境で育苗されたトマト大苗の定植後生育評価
(有)石井育種場 生食用ケールにおける溶液栽培方法の基礎研究
(株)スマートアグリカルチャー磐田 マーケットイン型の高機能作物開発を通じた地域ブランドの創造
(株)イノベタス 完全閉鎖型植物工場における生産技術の向上とその実
富士フィルム(株)富士宮工場 植物工場における根菜類の効率的生産技術の開発
富士山グリーンファーム(株) 閉鎖環境における可視光外波長域の植物生産への応用

オフィスタイプ入居者

事業者名 拠点における取組
東海大学 農学部、海洋学部等の技術シーズの提供、事業者とのマッチング及び研究・技術支援
NECソリューションイノベータ(株) 「AIシステムを核とした農芸品の栽培技術開発・継承事業」の技術開発の推進と普及
(株)ファームシップ 「農・食・健」等の連携に関する情報収集・分析・発信、コンサルティングサービス等

 

プレイヤーの研究を支えるのは中核的実験装置「次世代栽培実験装置」です。最先端技術を用いて、光(光量、光質)、温度、湿度、CO2濃度等の環境要因を同時に制御して様々な環境(約30万通り以上)が再現可能。複数の栽培室で同時に比較検討することで目標とする作物の性状を実現する栽培環境を効率的に探索できる。

様々な環境を再現し最適な栽培条件を探索できる次世代栽培装置や環境・植物計測、遺伝子解析、機能性成分計測等ができる最先端の分析機器を活用し、マーケットニーズに応じた農産物生産に寄与する様々な技術開発を行うことができます。
機器を活用した研究開発を希望する方は、静岡県農林技術研究所次世代栽培研究センターまでお問い合わせください。

当日の様子

 

栽培試験の様子

栽培施設の様子

有限会社石井育種場(静岡市駿河区池田710)

当社は明治40年の創業以来、キャベツ、はくさい、はぼたん等アブラナ科の品種改良、採種および販売を行っています。

昨今、一人当たりの野菜の消費量は年々減少傾向で、摂取目標350gに対して、我々日本人は約290gの摂取量といわれています。 一方、キャベツの消費量は増加傾向にあり、1つの理由として、カット野菜の普及があげられます。

ある統計によると、平成21年には(カット野菜の販売額千人当たり)2,400円が平成24年には4,200円であり、 スーパーでは一昔前までは少数派だったカット野菜のコーナーが、いまでは当たり前にどこにでも見られるようになりました。

さて、今度は供給側の視点から見てみましょう。キャベツ農家さんがキャベツを作るとき、広大な畑に一度にたくさんの種を撒き、育て、収穫は決めた区画のキャベツを全て収穫します。 この時に大切なことは、病気に強くおいしいことはもちろん、一斉に収穫可能な大きさに育っていること、また適期を過ぎたキャベツは割れるため、適期が長いことも重要です。

このような特徴を持つ種を一般的にF1(雑種1代)と呼びます。F1は、2つの異なる純系同士を組み合わせた1代目の雑種のことで、メンデルの法則によれば、 純系同士を組み合わせた最初の1代目の雑種には優勢が必ず現れる、とされています。

当社では、まずは6〜7年かけて純系をつくり、次に異なる純系同士を掛け合わせ(交配)てF1の種をつくりますが、ここでも3〜4年かかりますので、 1品種のF1種の製造には約10年かかることになります。これらの作業は機械化ができないため、非常に手間と時間がかかります。

さらに、近所の家庭菜園等から飛んできた花粉と容易に受粉してしまうため、実施には場所を選びが肝要です。本来は、種の採取には乾燥していた気候が向いているため、 これまではイタリアやフランスで世界中で使用されるたくさんの種が作られてきましたが、ここ数年は世界的な異常気象の影響でよい種が取れなくなってきています。

おいしい野菜を安価に低価格で供給するためには、これらF1の種が欠かせないため、当社の役割が大変大きいものであると実感しています。

話は変わりますが、日本だけでなく、世界中で核家族化が進んでいます。これまでは好まれていたキャベツのサイズが、1kg程度のものから使い切りやすい500g程度の小ぶりなものに 変わってきました。ニーズを把握する、また予測して種を作ることも我々には求められます。

最近は健康ブームもあり、いわゆる青汁の需要が増加傾向にあります。青汁の原料であるケールは、栄養価が高い一方、固いため、これまでは生食には不向きでした。
当社では、生食用のケールを開発し、試験的に東京で販売したところ、大変な人気がありました。現状では土耕栽培ですが、今後は水耕栽培の技術確立のため、 このたびAOI-PARCに入所する運びとなりました。

皆様の食卓に、おいしい野菜を安価に安定的に供給できるよう、今後も努力して参りたいと考えています。

 

 

石井育種場圃場

 

視察会の様子

 

石井和広代表取締役

 

 

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