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ビジネス事例紹介 環境ビジネス成功の秘訣

浜松城北工高から広がる環境教育の輪
静岡県立浜松城北工業高等学校

「低炭素杯2017」において、静岡県内から「静岡県立浜松城北工業高等学校」(以下、浜松城北工高)が学校部門で優良賞を受賞しました。浜松城北工高は「地球にやさしいエンジニア」の育成を合言葉として掲げ、環境教育活動に精力的に取り組んでいる学校であり、生徒たちの校外でのボランティア活動を単位として認定する県下唯一の工業高校であるほか、ISO14001内部監査員養成コースへの挑戦、ペットボトルをリサイクルして作られた実習服やジャージの着用、リサイクルステーション設置による校内から排出されるごみ14品目の完全リサイクルなど、環境に配慮した学校モデルとして数多くの取り組みを行っています。

今回はその取組内容や環境教育への想いについて、浜松城北工高環境クラブ顧問の飯尾美行先生にお話を伺いました。

浜松城北工高環境部顧問 飯尾美行先生

〇浜松城北工高での環境教育の歴史

2015年に60周年を迎えた浜松城北工業高等学校ですが、環境教育への取り組みは1991年から始まりました。当時、1992年開催のリオデジャネイロサミットに合わせ、「浜松城北工高でも環境教育に挑戦してみよう」という機運が高まっており、その際に山の会や生徒会顧問を務めていた飯尾先生を中心として、ゼロからの活動がスタートしました。

その中で1995年、環境活動の「リーダーの育成」を目標とした環境クラブが創設されました。環境クラブでは、自然保護のメッセージを掲げた大凧づくりや、ソーラー車椅子の製作など、環境をテーマとした様々な活動を行ってきました。

環境クラブで最も特徴的な理念が、生徒たち自身が「楽しみながら」活動を行うという点です。楽しみながらの活動を重視することで、一人ひとりが問題解決に向かって積極的に取り組めるようになり、自主的に活動が行えるようになる、というのが環境クラブの考えです。

その理念の体現となった出来事が、1997年に起きたナホトカ号重油流出事故です。ロシア船籍のタンカーが沈没、日本海側の広い範囲に重油が漂着し、回収には多くのボランティアが動員されました。そして、その中には浜松城北工高の生徒の姿も見られました。当時、部員が14名であったにも関わらず、総勢で74名がボランティア活動に実費で参加。その中心にあったのは学校でも教師でもなく、他ならぬ生徒たち自身の姿でした。

ボランティア元年と言われる阪神淡路大震災(1995年)の例があったとはいえ、学校もボランティア活動に対して消極的な姿勢であった中、環境クラブ部員が核となって声を掛け合い、浜松城北工高中に輪となって広がって行ったのです。

津波から市民の命を守るため沿岸域17.5kmに整備中の防潮堤に植樹する浜松城北工高の生徒たち

〇「環境教育宣言」と「城北の森」

2000年11月18日、活動を始めて10年目の節目として、「社会に貢献できる学校」としてのあり方を示すため、「地球にやさしいエンジニアの育成」を目指すための明確な目標及び5つの行動指針で構成された「環境教育宣言」が行われました。

そして、「環境教育宣言」の2年後となる2002年3月16日には、浜松城北工高における環境教育のシンボルとして、潜在自然植生による「城北の森」づくりが行われました。総面積379m2の広大な面積に、110種547本の木々が密植方式により全校生徒で植樹されました。

グラウンド横、浜松城北工業高校の中央に位置する「城北の森」は、環境教育のシンボルとなっている

また、「城北の森」の隣にはログハウス風の「リサイクルステーション」も設置されています。この「リサイクルステーション」では校内で排出されたごみを14品目に完全分別し、市内のリサイクル専門業者と連携してゴミゼロ活動に繋げています。

「城北の森」と「リサイクルステーション」の遠景。共に校内の中心部に位置し、学校のシンボルとなっている

また、この「リサイクルステーション」は環境先進国であるデンマークをモデルに浜松城北工高がいち早く取り入れたもので、現在市内各所に設置されている24時間型のごみステーションは、浜松城北工高をモデルケースとして浜松市が社会実験を行い設置されています。

循環型社会を目指す「リサイクルステーション」では、生徒たち自身の手によって14品目に完全分別が行われている

〇「環境教育はシャワーのように!」

「環境教育は学校の中だけでは完成しません。学生生活は3年間という短い期間しかありませんが、人生は卒業した後も果てしなく長く続いていきます。そんな中、いわば学生とは自然な土壌のようなもので、そこに蒔かれた種に地球にやさしい思いや態度のシャワーを浴びせ、自ら環境に配慮できる市民へと成長していくのが環境教育というものだと考えています。そして、『地球にやさしいエンジニア』という合言葉と共に、どこよりも先進的な環境への取組を行ってきた高校で3年間学んだという誇りを胸に、いつか社会に出た時にひとりひとりの花を開いていって欲しいと思っています」と、飯尾先生は語ります。

「地球環境問題は、我々の世代だけで解決できるものではなく、未来の子どもたちに託すほかありません。学生生活よりもはるかに長い社会人としての人生を、それぞれの立場で社会を変革する力を持った有為な人材として歩んでくれることを期待しています。また、浜松城北工高と同じように環境への取組を推進する県内の高校が増え、県内から全県へ、ひいては日本全国に広がってくれれば、と思っています。浜松城北工高での取り組みはひとつの小さなモデルケースのようにも見えますが、ひとつであっても成功モデルがあるという事実がとても大事だと考えています。そして、その中でたった一人の生徒であっても、その生徒の心の変革というものを我々は最も大切にしています。一滴の水であってもその波紋が広がるように、環境への意識変革の輪が広がってくれることを願っています」

2002年に浜松城北工高のシンボルとして、生徒たちの手で植樹された「城北の森」。16年前に植樹した苗木は立派な森となり、現在も学校の中心で生徒たちを見守り続けている。

浜松城北工高の環境教育活動の原点となっている「環境教育宣言(2000年11月18日)」

 

 

静岡県立浜松城北工業高等学校
http://www.edu.pref.shizuoka.jp/hamamatsujohoku-th/home.nsf/IndexFormView?OpenView
浜松市中区住吉5-16-1


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