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ビジネス事例紹介 環境ビジネス成功の秘訣

紙でどこまでできるのか(富国紙業株式会社)

富国紙業株式会社

設立年 :昭和22年9月
資本金 :1,000万円
従業員数:31名

紙は我々の生活の様々な場面で使われており、雑誌、メモ帳、袋、包装、壁紙、さらには、帽子や衣類など実に様々だ。もちろん工業用としてはかなりマニアックな使われ方もされているが、今回は富士市で活躍する、紙に強度を持たせるスペシャリストを紹介したい。



―――最初に御社概要について教えてください

当社は富士市にて工業用クレープ紙の製造を主軸としているメーカーです。

紙を扱う会社の形態は色々ありまして、紙を抄いて原紙を作る企業、原紙を加工する企業、その紙を更に加工する企業、古紙を回収する企業、等がありますが、当社は紙の加工を専門に行う企業です。

クレープ紙は、紙の表面にシワを寄せる加工を施した紙で、一般の皆さんにはあまり馴染みがないかもしれませんが、缶蓋運搬のための層間紙(スネークペーパー)として使用したり、電線等の線材の包装に使用されています。この加工ができるメーカーは県内でも数えるほどしかなく、言い換えれば国内でも数社しかない特殊な加工となります。

昔は、電線等の線材は、環状に束ねて、傷がつかないように木箱に入れて運搬されていましたが、電線そのものが重いうえに木箱だとさらに重量が増え、運送時のコスト削減が求められていました。

そのような状況下、紙製包装材の開発は画期的で、長く愛用されましたが、プラスチック包装材の登場で、多くのメーカーが、プラスチック包装材に代替しました。プラスチック包装は熱収縮で加工も簡単で、開封もしやすく、雨にも強い

しかし最近、環境配慮の考え方から、紙製包装材に戻る動きが出ています。

クレープ加工の施された紙


線材に巻かれたクレープ紙

―――いま製紙業界の状況はいかがでしょうか?

かつて富士地域は「紙のまち」として栄え、静岡県の基幹産業のひとつに位置づけられるほどでしたが、全国的な環境配慮に伴う紙使用量の節減、新聞離れ、紙から携帯やタブレット端末への切り替えによる影響等、様々な事情により、紙の生産量は右肩下がりです。

ですから製紙工場が製造する紙の多くは、紙の使用量が多い東南アジア等への輸出用です。いま世界で最も製紙業が盛んなのはどこかご存知ですか、お隣「韓国」です。

富士地区では、大手製紙メーカーの大昭和製紙と日本製紙が統合し、業界の再編成がされたところ、ここにきて日本製紙鈴川工場の閉鎖が決まりました。

統合により混乱した業界がようやく落ち着きを取り戻した矢先の発表だったため、下請け企業、機械のメンテナンス会社、日本製紙の紙を購入して加工、製品化していた企業など、既に様々な動きが出ていると聞きます。

さらにこの景気の状態ですので、ペットや介護関連の製品を扱うところは一部好調とのお話も聞きますが、業界全体では、大変厳しい時代に突入した、と実感しています。

―――他にも御社の独自技術があると伺っているんですが。

紙に強度を持たせるためには、PPやPEの糸やラミネートなどを紙と紙の間に挟み込む方法が一般的に用いられてきました。

紙は廃棄物の中でも“専らぶつ”といわれるくらいに、昔から古紙として回収されリサイクルされてきましたが、PPやPEが混じった包装材はリサイクルが難しいので、産業廃棄物として処分されていました。

もちろん当社でも、そういった製品を作っておりましたが、もう10年以上も前の話になりますか、ある取引先の企業の方から、「これからは、リサイクルができないもの、いわゆる使用後に産業廃棄物になってしまう包装材は使われなくなる」というお話を伺いました。

そこで、誕生したのがG.E.R再生強化包装紙です。

G.E.R.は、Global.Ecology.Recycle.をコンセプトに、紙テープを紙と紙で挟んで、従来の糸やラミネート加工を施した製品以上の強度を持たせた製品です。

紙以外には、糊分のみの使用となりますので、使用後に100%リサイクル可能な商品です。


G.E.R再生強化包装紙


プライマシン

当社が外部委託で実施した試験結果では、通常のクラフト(100g/u)の強度は8.09kN/m、糸入りが11.6kN/m、当社GERは15.4kN/mで、十分な強度があることがわかりました。

紙やテープの組み合わせは実に様々で、単純にテープを太くすると強度が出るというものでもなく、繊維の組み合わせ、紙の縦横方向の強度等含め、特許を取得しております。

組み合わせの工夫により、求められる強度を自在に変更することができますので、オーバースペックになりすぎて環境に負荷を与えるようなこともありません。

用途は様々ですが、これまで、電線や鉄線などの工業用包装紙、ギフト用包装紙、紙袋、またセメントや肥飼料用の重袋として使用されて参りました。

―――まだ他にも色々な用途で使えそうですね。

クレープ加工と組み合わせると、実に色々な用途に利用ができるのではないかと思います。

使い方については、逆にお客様から「こんな用途で使えないか?」等ご相談くだされば、よい提案ができるかもしれません。

G.E.R.を使った重袋


色のバリエーションは多彩

これは余談ですがクレープ加工を施した製品については、表面が凹凸になっていることから、夏の寝苦しい時期に敷いていただくと、快適に過ごせるという、紙屋独自の使い方があります。イレギュラーな使い方ではありますが、私は子供の頃から、夏の夜の定番の使用方法でした。今夏も厳しい節電が予想されますので、使ってみたいという方がいらっしゃれば、当社までご連絡をいただければと思います。

―――最後になりますが、今後の展望について

最初にお話したとおり、製紙業界は益々厳しさを増しています。

当社も大変苦しい状況におりますが、主力製品であるクレープ紙は、一時期はプラスチック製に代替されたりもしましたが、環境にやさしいということで、ユーザー様は紙製製品に徐々に戻ってくれています。

また今年5月には、G.E.R.再生強化包装紙を利用した重袋をリリースしました。

地元富士地区の活性化を含めて、環境にやさしい製品づくりをキーワードに、これからも製品開発をしていきたいと思います。

一言PR
環境問題に対しては、消費を減らすと言う方策をとる状況が多々見受けられます。しかし、ただ消費を減らすと言うのでは経済の発展とは対極の位置にあります。浪費すること無く、消費しても環境を汚染しない商品の開発、販売に邁進していきたいと考えます。

富井英稔(とみい ひでとし)
富国紙業株式会社代表取締役
昭和40年10月21日生まれ
平成5年入社
平成6年取締役就任

 

 

 

富国紙業株式会社( http://www.fujinokuni.co.jp/hp/fukoku2.htm )
富士市原田70−2
Tel:0545-52-3008 fax:0545-53-5067
E-mail kami@ny.tokai.or.jpfukoku@ny.tokai.or.jp


 

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