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ビジネス事例紹介 環境ビジネス成功の秘訣

地球温暖化から食料を守れ!〜究極のエコ資材の開発〜(静岡県立富岳館高等学校 農業クラブ)

静岡県立富岳館高等学校 農業クラブ

設立年:明治33年5月
全校生徒数:712名(平成27年4月1日現在)

全国地球温暖化防止活動推進センターや大手企業、環境省などが共催、後援して開催された「低炭素杯2015」において、静岡県立富岳館高等学校 農業クラブのAHXチップによる温暖化防止の取り組みが、キリン最優秀学生チャレンジ賞とオーディエンス賞を受賞しました。今回は、農業クラブメンバーの生徒のみなさんにお話を伺いました。

※ 平成26年度静岡県地球温暖化防止活動知事褒賞も受賞


学校概要
 当校は、明治33年に富士農林学校として創設、平成14年に社会の変化と時代の要請に応じ、現在の名称である「静岡県立富岳館高等学校」へと改称、単位制総合学科に改編しました。現在、国際教養、自然科学、社会科学の3つの普通系列、生物生命、工業テクノロジー、国際ビジネス、健康福祉の4つの専門系列を擁し、多様な個性に応じた教育を推進しています。

 そして、授業の一環として約70年前から始まった農業クラブは、農業に関心のある生徒による有志のチームで、各チームがそれぞれテーマを決めて活動しています。今回のキノコ研究班は、平成21年4月発足(本研究内容は平成24年4月より)、現在は12人が所属しています。

産地の北上
 富士宮市朝霧高原へ、焼津市大井川町から高糖度トマトを生産している農業法人が温室を増設しました。理由は、地球温暖化による気温の上昇で、トマトの栽培管理に支障が起きるようになったからです。トマトは本県の指定野菜で、最近では夏季の高温化により、農家のダメージは富士宮を含め、静岡県全体に広がっています。その他、キュウリでも減収、その他の作物も夏の高温化が課題となっており、特に、温室で栽培する作物にはその傾向が顕著に現れています。

フェアリーリング
 生徒達と富士山麓に行った際に、フェアリーリング(芝がリング状に茂り、きのこが発生する現象)を偶然確認しました。
フェアリーリングは芝の病気が定説でしたが、最近、フェアリーリングを引き起こすキノコが、とある植物成長調節物質を生成し、その影響で芝が繁茂、その物質は環境ストレスに強いことが、静岡大学大学院農学研究科応用生物化学専攻の河岸洋和教授によって発表されました。また、その物質が、環境ストレスに耐性を示すことが確認されました。この物質がAHXです。
そこで農業クラブでは、AHXがトマトの耐暑性向上に寄与するのではないかと考え、実験を行うことにしました。

AHXチップ

低炭素杯での受賞の様子

成長促進作用と耐暑効果(静岡大学農学部協力)
 富士山麓のキノコ(フェアリーリングを引き起こしているシバフタケ)よりAHXを抽出しました。さらに、AHXを活用してトマトの温度変化による発芽実験を実施しました。通常は20〜30度が適温といわれるトマトの発芽温度域に対して、35℃という高温条件下、AHX処理区での種子の発芽率は、無処理区の1.7倍でした。
さらに、トマトの根伸長に及ぼすAHXの影響についても調査、無処理区に比較して根の伸長に効果があることが確認できました。
 つまり、AHXには、耐暑作用及び成長促進作用があることが証明されました。

PSとの出会い
 富士宮市や隣市の富士市は、静岡県の基幹産業の1つである製紙業が盛んです。
特に近年はリサイクル紙の製造が盛んで、その際に副産物として発生するのがペーパースラッジ(以下、「PS」)です。PSは、セルロースを含む繊維物が主成分で、大量に発生するため、長い間様々なリサイクル方法が模索されており、現在に至っても、100%リサイクルが達成されていない廃棄物です。

 市内の製紙業者に工場見学に行った生徒が、PS炭化チップの存在を知り、チップにAHSを埋め込んだところ、AHXが緩効的に作用し、通常と比較してAHXを約1/2の使用量まで削減できるようになりました。

 このAHXチップを使用してトマトの栽培実験を実施、AHXチップ処理区のトマトは、無処理区と比較して1.3倍の成長率となりました。 また、トマトの収量は、無処理区と比較して1.4倍、高温下で発生するしり腐れ果は、無処理区の1/3に留まりました。

収穫したトマト

トマトの栽培研究

農家での実証実験でも効果を確認
 実験ではよい結果が得られましたので、地元トマト栽培農家に協力をいただき試験を実施したところ、株当たりの収量が1.3倍(4.8kgから6.4kg)、しり腐れ果は10個から4個と大幅に減少しました。

 また、今まではハウスに冷房を入れて温度を下げていましたが、AHXチップの導入により、本校のシミュレーションでは、冷房やファンの使用を3分の2まで削減できることがわかりました。(ただし、導入設備等によって異なります)

今後の目標など
 AHXには、乾燥や塩に対するストレス耐性があることもわかってきていて、現在、宮城県成瀬川流域における震災復興事業において、塩害を受けた芝への研究を行っています。
また、国内外の中高生が研究成果を発表する「つくばサイエンスエッジ2015」において、本研究が最高賞の1つである創意指向賞を2年連続で受賞し、今年も7月にシンガポールで開催される世界大会「グローバルサイエンスリンク・シンガポール」に出場することが決まりました。

 今後も、「地域の農業の課題は地元の農業高校生の手で解決する」をテーマに、生徒達には地元静岡県の農業振興のためにがんばって欲しいです。

 

富岳館高校 農業クラブ

私達は農家の皆さんの課題解決のため研究を行っており、正直なことをいえば、環境問題は後付けでした。AHXの利用は、利用しない場合に比較して確かに結果に結びつくものですが、農家で導入した際、本当に利益に繋がるか、ということは常に課題です。導入に前向きな農家の皆さんだけでなく、シビアな農家の方にも使って喜んでいただけるような研究をしたいと思っています。

 


 

 

 

静岡県立富岳館高等学校
http://www.fugakukan-h.sakura.ne.jp/
富士宮市弓沢町732番地
TEL 0544-27-3205 FAX 0544-26-8849


 

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